クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 小技・裏技編 】
089. 磯バッカンはサイズ違いのものを二つ用意すると便利! 【 石田順市 】
 私は釣行する際、必ずサイズ違いのバッカンを二つ持って行く。なぜサイズ違いかというと、マキエを入れていないときに、大きいほうのバッカンの中に小さいほうのバッカンを収納できるからである。

 バッカンのサイズは、40cmと36cmだ。 それらのバッカンをどのように使うかを説明するが、それは、私がマキエをどのように作るかという点と深く結びついている。

 私は、マキエをいっペんに作ってしまうことはしない。オキアミ一角と集魚剤半袋くらいの量で少しずつ作る。そして、作ったマキエを小さいほうのバッカンに、残った集魚剤とオキアミは大きいほうに入れて高いところに置いておく。

 このようにする理由は二つある。一つは、状況の変化にともなって、マキエの目的が変わってくるから。そうなれば、当然配合する集魚剤や海水の量も変わってくる。 二つ目は、そうすることによって、不意のトラブルで小さいほうのバッカンを流されても、まだ大きいほうのバッカンに残ったマキエで釣りを続けることができるからである。

 バッカンを流されて、その日一日の釣りがバーというのでは悲しすぎる。 磯釣りでは珍しくないそんな状況も、こうしておけば未然に回避することができるのだ。

 では、私が基本としているクロ用のマキエの作り方を説明しよう。 初めのうちは、たくさんのクロを寄せるためにグレパワースペシャルとオキアミを配合する。 グレパワースペシャルの特徴は、ある程度比重があるので沈みやすいことと、キラキラ光るものも入っているので魚の視覚を刺激することが挙げられる。この性質は、クロを呼び寄せる目的にぴったりである。  クロが十分寄ってきたら(その頃ちょうど最初に作ったマキエはなくなっている)、次のマキエ作りに取りかかる。今度は比重が小さいV9を主体に配合する。クロが集まってしまえば、浮かせたほうが勝負が早いからだ。ただ、これは主にクロの活性が高いときのマキエである。

 一方、寒の時期のクロ釣りは、深ダナ勝負になることが多い。具体的には竿一本半や二本入れないと食わないときを指す。 そんなとき、私はチヌパワーを必ず持って行く。「え? クロ釣りにチヌ用の集魚剤?」と思われるかもしれないが、チヌパワーは深ダナのクロを攻めるときには意外に効果がある。 この集魚剤は比重が大きく沈む速度が早いので、深ダナにいるクロを直撃するのである。

 以上のように、私はもっぱらこの三種類の集魚剤を使っている。自分でこれだと思った集魚剤をとことん使い込むと、その性質がだんだん分かってくる。すると、状況に応じた使い分けができるようになる。 また、水加減、練り具合などによってマキエがどう変わるかも体で覚えてしまうものだ。

 まとめると、二つのバッカンを持って行くことのメリットは、次の二点に集約される。 一点目は、小さいバッカンで少しずつマキエを作れば、状況に対応したマキエが作れること。 二点目は、バッカンが波をかぶって中身が水浸しになっても、すぐに元通りの釣りに復帰できることである。バッカンごとさらわれても、大きいほうのバッカンで代用できる。 せっかくの休日を利用して釣りに行っている人がほとんどだろう。貴重な時間を使って釣りを楽しむのなら、用意周到、準備万端で思いきり快適な釣りを楽しみたいものである。


* 本文でも述べた通り、ク口約りのマキエの基本は一度にたくさん作りすぎないことである。だから小さいパッカンで十分。 ク口釣りに大きなバッカンを使うと、ついついマキエを作り過ぎてしまうし、持ち運びするにもかさばるので、いいことなしである。
 私は36cmがちようどいいサイズだと思う。実際に使ってこのサイズに慣れると、みなさんも大きいバッカンは必要ないと感じることだろう。
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