クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 小技・裏技編 】
094. 陽気な仕掛け巻くんを利用して素早くセットアップ。 【 三原憲作 】
 競技大会では、磯変わりすることが多いこともあって、ゲームを終えるたびに仕掛けを切り竿をたたむ。しかも、次のゲームが始まるまで時間の余裕がなく、マキエを作って一息入れることしかできない場合が往々にしてある。 こんなとき、精神的にゆとりがあるとずいぶん優位に立てる。 それを可能にする小道具の一つに、この「陽気な仕掛巻くん」がある。ハリスに鈎を結んで巻いておくだけの単純な小道具で、似たようなものは昔からある。特に目新しいところはない。

 しかし、現在のグレ釣りファンの何割がこの小道具(似たようなものも含めて)を利用しているかを考えると、その数字は非常に寂しい。ハリス〜鈎の結び替えのスピードには、みんな自信があると見える。 かえって、鈎とハリスを結んだものをあらかじめ用意しておくと、鈎結びに時間がかかる=慣れてない=初心者と受け取られかねない。 ところが、競技会のように時間に余裕がないときは、慌てて結んでやり揖なうよりは、最初から結んだものを持参したほうがずっと確実性は高い。

 チモトに小さい傷が入り、結び直そうかどうか迷ったときも、結んだものがあれば時間のロスは少ないから気軽に交換できる。 無精をして結び直さなかったばかりに、良型をバラした経験のある釣人は多いと思う。 プライベートの釣りでも、時合が訪れて周囲にいた仲間の竿が続けて曲がったときは、同じような心境になる。

 また、視力に自信がないお年寄りは、往々にして暗いうちに小さな照明で鈎を結ぶのが苦手なものだ。同じ理由で夜釣りも嫌う。しかし、竿にリールをセットしてウキまで通しておき、鈎とハリスはこの方法で結べば簡単だから、朝マズメでも夜でもガンガン攻められる。

 陽気な仕掛巻くんのいいところは、スポンジのようなEVA素材だから、鈎はどこにでも刺せて、しかもハリスを傷つけないところにある。軽いから、海に落ちても浮いている(もちろん、海水に滞れたままだと鈎は錆びる)。 これに仕掛けを巻くときは、まず一本目の鈎を刺し、ハリスを巻き終わったら、ハリスの端にワサを作る。 そして、二本目の鈎は、このワサに通して陽気な仕掛巻くん本体に刺す。 同様に、二本目のハリスの端にもワサを作り、三本目の鈎先をこのワサに通す。 これを繰り返してゆけば、八本から十本は絡みゼロで巻き込むことができる。 チモトの結びめを補強したものもこれに巻き込めば、非常に整理しやすくなる。


陽気な仕掛け巻きくんはコンパクトだから、鈎とハリスの号数違いを数種類揃えていても嵩張らない。

* 市阪の仕掛け巻きはいくつか種類があるが、海用のハリスを巻くものは、まず丸くなくてはならない。でないと、ハリスに糸癖がつく。ハリスも道糸も、丸いプラスチックのリ−ルに巻かれて販売されていることを思い出してほしい。

 次に、何本も重ねて巻いても縮み難いという条件を満たしてないといけない。その意味では、鈎を引っ掛ける位置が決められているとハリスの長さを調整しなければならず、使いづらくなる。その点、この陽気な仕掛巻くんはどこに鈎を刺してもいいから便利である。
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