クロ釣りの技 【 仕掛けで差をつけよう - 小技・裏技編 】
097. 竿を小脇に抱え込めば両手が使えるぞ。 【 鵜澤政則 】
 最近のクロ釣りは、ちょっとしたことで差がつくと言われているが、これは、釣り方のみならず、釣行前の情報収集や道具の準備はもちろんのこと、磯の上での行動のすべてに当てはまる。 とりわけ釣っている最中は、できるだけスムーズにあらゆることを運ぶ必要がある。鈎結び一つを例にとっても、素早く、きれいに、確実に、結べるようでなければいけない。 ときどき見かけるのは、いちいち竿を置いて仕掛けを変えている人だ。釣りを始めて半年程度なら仕方がないと言えなくもないが、一年も二年もやっているのならいただけない。 気分を一新するために、一服してから仕掛けをすべて新しいものに変えるといった場合は、高台の安全なところで腰を降ろしてやるけれど、ハリスや鈎の交換とかガン玉の追加といった仕掛けの変更は、釣座でやるべきである(このとき、海に背を向けるのは事故のもとである)。

 方法はいたって簡単。竿を脇に抱えるか、あるいは両足ではさめばよい。そうすれば、両手が自由に使える。 ただし、両手が使えても小物が高台のバッグの中では片手落ちである。ライフジャケットについている大さなポケットは飾りじゃない。必要なものはすべてこれに入れておく。 その場合も、ハリスはここ、ウキはここ、鈎ケースはここといった具合に、どこになにを入れるかを決めておき、そのシステムを崩さないことが大切だ。 こうしておくと、一、二回釣行すれば、あれこれ迷わずに自然と手が動くようになる。

 釣りは、メンタルな部分もおろそかにできないと私は思う。決して技術だけじゃないのである。これは、なにもトーナメントとか大会とかに限ったことじゃなく、普通の釣りにも当てはまる。 先に鈎結びを例に挙げたけれど、これでつまずくだけでも体のリズムが狂ってしまう。 いい潮がきた、隣は竿を曲げている、今が時合だ……。なのに鈎結びがうまくいかない。気が焦る。焦るから、なおさらうまく結べない。 適当に結んで仕掛けを投げたら、クロが食ってきた。よし、と思ってやり取りを開始した途端、軽くなった。巻き上げてみると、鈎がない。結局、終わってみれば、隣は5匹、こっちは0匹…。

 これは誇張ではなく、よくある現実のケースなのである。一つのミスが次のミスを呼ぶ、と言えばいいだろうか。これが怖いのである。 時合が短い時代を考えれば、つまらぬミスはできる限り少ないほうがいいし、時間の無駄はないほうがいい。そのためにはスムーズにことを運ぶ配慮をしておくことである。


簡単な仕掛けの変更はすべて釣座でやる。いちいち竿を置いてやるのは時間の無駄。竿を小脇に抱え込めば両手が使える。



カメラに向かってポーズをとる私。でも、プライベートならこんなことはしない。次の一匹に向けて素早く処理をする。近くにタイドプールがあれば、放り込んでおくとよい。
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