WONDER LAND 2 【 仕掛編 1 - 鈎 】
Q 34. 鈎の数が多いほうがよく釣れる気がするのですが、雑誌の仕掛け図は一本鈎ばかりです。 どうして鈎は一本なのですか?
 同じ魚を捕る行為でも、漁業と釣りには大きな差がある。 漁業は生活するために魚を獲って売る。漁獲量(釣果?)が少ないと収入が減る。だから、一本では効率が悪い。ハエ縄のようにたくさんの鈎を使って魚を捕る。

 一本鈎を使うのは、よほど大きくて価値の高い魚を釣るときだけでしかない。 それに比べて釣りはあくまでも趣味であり、生計を立てる手段ではない。自然と触れ合い、魚と遊ぶことによってストレスを発散させることを目的としている。釣果はそれに付随したものに過ぎない。 だから、一度にたくさんの鈎を使う必要はない。ボーズでも許される。

 釣果が多くなければ釣った気がしないという人もいないわけではない。が、それでは魚が釣れなければ、逆にストレスが溜まってしまう。 同時に、そんな考えでは、釣りに対する姿勢があまりに寂しすぎるような気がする。 これは基本的な精神論だが、実際面で考えても鈎が多いとデメリットも多い。

 アジ子のサビキ釣りを経験したことはないだろうか。アミカゴにアミを入れて海にほうり込み、竿先を上下させる。魚がいれば勝手に食いついてくる。 効率よく釣り上げるには、それなりのテクニックは要求される。しかし、クロ釣りやチヌ釣りのような釣趣とはかけ離れている。ましてや、苦労した末に仕留めた1尾の喜びや満足感ま望むべくもない。

 なぜ釣趣がないかを考えたとき、理由はいろいろ思いつく。鈎数は六、七本、多いものは十本もある。この鈎で食わせようという思い込みはまったくない。大ざっぱに、どれに食いつくだろうとしか考えない。

 仕掛け絡みも多い。 当然か、魚を外すのに時間がかかる。 一、二本切れても無視して、そのままで釣りを続ける。
サビキ仕掛けだから一本一本ツケエを刺す手間は不要だが、これが通常の鈎ならツケエをたくさん付けなくてはいけない。それ以前に、鈎数が多い仕掛けを作らなくてはならない。 また、最近では、釣りをスポーツや競技とみなす考え方が根づいてきた。スポーツならルールがなくてはいけない。そんなことも、一本鈎が定着した理由といえるだろう。



★ ワンポイント・レッスン ★

 鈎数が多いと、魚が一どきにたくさん釣れると思う人が多いようだ。ところが、実際はそんなことはない。 二本鈎に魚が2尾釣れるとしたら、よほど活性が高く、マキエを追って海面近くまで浮いてきている場合しかない。 前述したサビキ仕掛けにしろ、4尾も5尾も釣れることはめったになない。


A 34. 魚がたくさんほしいのならハエ縄を使えばいい。
釣りは漁ではない。一本の鈎で1尾ずつ釣る楽しさを味わうのが原則。
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