05 実践編 その3

船釣り : ジギングの技

 タチウオの活性は水温や水深、プレッシャーの有無など様々な要因によって変化します。その日の状況に適した誘い方を見つけることが重要なので、釣れている人の様子も参考にしながらヒットパターンを探ってください。
 一般的には水深と同じグラム数のジグを使いますが、活性が低いときに思いジグだと動きが速すぎることがあります。喰い気が乏しいときや、潮が動かないときにはアタリの出やすい軽めのジグをお勧めします。ひらひらとスローに落ちていく巾広タイプのジグをグロー系とホログラム系の2種類準備してください。どちらを使うかは潮の濁りで判断します。ケミホタル は視界のよくない海中でジグの位置をアピールしてくれるマストアイテムなので手間を惜しまずに装着してください。
 ロッドは5~6フィートの柔らか目が主流です。硬いロッドだと、シャクったときにジグを弾いてスレになりやすいので注意してください。青物用なら一番柔らかいロッド、バス用ならミディアムクラスで充分使えます。リールはスピニングよりもベイトの方がフォール中の糸フケが少ないため、アタリを見逃さずにフッキングに持ち込めます。
 ラインはPE1~3号で、リーダーはやや細目の 20~30lb を使います。ロストを恐れてワイヤー類を装着するとヒットが激減するので注意してください。
 アクションは青物と違って単純です。リール1回転に対して1回シャクリのワンピッチジャークで、ゆっくり誘っては止めるを繰り返せばOK。活性次第ではフォールでどんどんアタってきますが、ここで喰わすとジグがステイしたときにラインが弛んで切られ、時合を逃がしてしまいます。フォール中にアタリがあったらタナを覚えて、その上下を巻き上げで探るのがプロの技です。ラインが張っているのでアタリが取りやすく、ジグのロストも防げます。

① ヒットパターンを素早く把握
② 常に変化するタナを逃がさない
③ 誘い上げで喰わすのがプロ

ピタホタル - ピタッと貼りつく平面型ケミホタル

船釣り : エサ釣り

 防波堤から狙うよりも大型が釣れ、初心者でもボウズが少なく、沖釣りの入門にうってつけなのがタチウオの船釣りです。
 タチウオの群れまたは捕食している小魚を魚群探知機で見つけるので、いったん魚群が見つかれば、船長の指示するタナで誘いをかけるだけで数釣りが楽しめます。
 乗合船はサバのタンザクを用いるエサ釣りが基本になります。ウキは使いません。船の真下を釣るので、仕掛け沈降時に糸絡みを防ぐテンビンを使います。両テンビンと片テンビンがありますが、絡みにくくて扱いやすい片テンビンをお勧めします。タチウオ仕掛けはトラブルが多いので、できるだけシンプルにしましょう。( 地域や遊漁船によって指定があるので、利用する船に問い合わせてください ) 竿は 2.7m の短めを使用し、両軸リールにPE2~3号の道糸を使用します。片テンビンには80~100号のオモリをつけ、さらに1ヒロほどハリスを足してサルカンにチューブ仕掛けを取り付けます。このとき片方を 60~75cm 、長い方をその倍以上にすると絡みにくくなります。

東海・関東エリアでの船釣り用仕掛け例

その他の仕掛け例

後ろ向きに泳げるタチウオ

 タチウオは海底から急浮上して小魚を襲うとき、獲物から眼が逸れることがないよう、体をまっすぐにしたまま背びれの力で泳ぎ上がります。活性が高いときには水面をバシャバシャと奔るように泳ぎますが、このときは背ビレが使えないので体全体をくねらせます。タチウオの引きに重量感があるのは、タチウオが後ろ向きにも泳げるからです。今度タチウオを釣り上げたときによく観察してみてください。背ビレは頭部に水を送って体を後進させる方向に動いているはずです。

ライトタックル

 深海魚出身のタチウオは深場を本来のテリトリーにしています。そのため深場では安心して一気に飲み込むことがあっても、アウェーとなる岸近くや浅場では警戒してモゾモゾと囓り喰いします。アタリは多くても掛けるのは難しいため、自然な動きの軽い仕掛けで誘い上げるのが基本になります。エサだけを噛んでいる状態から鈎を喰わせるまでの駆け引きがLTタチウオの醍醐味です。
 水深がある場合はスローで巻き上げればOKですが、浅場の場合は必然的にタナも薄くなるのでショートストロークで探っていきます。浅いほど逃げ場所がないため警戒されやすく、アタリから鈎がかりまで時間がかかるようになります。タナの厚みがないときにスピーディにしゃくるとタチウオがエサを追いきれないので、エサをじっくりと見せる感じで誘ってください。
 狭いピッチでゴー・ストップを繰り返しながら水面までタナを上げていき、アタリがあったらそのタナを中心に探っていきます。同じ場所でエサを踊らせて誘うときは、竿先だけで上下を数回繰り返してからタナを 1m 上げます。テンビンが見えるくらい水面近くまで上げても喰うことがあるので最後まで気を抜かないでください。

1 : 仕掛けを指示ダナまで下ろしたら
2 : 竿で 30~50cm ほど聞きあげて
3 : ラインを巻き取りながら竿先を下げる
4 : また 30~50cm ほど聞きあげる