08 おすすめ釣場ポイント その2

中国・四国エリアの釣り場


 瀬戸内海は潮の速い緩いに関わらずほぼ全域がタチウオの産卵場所となっている。産卵期間が長くて定着系の魚影が濃いうえに、秋になれば大群が流入してくるのでタチウオの釣れる港湾は非常に多い。
 広島周辺の太刀魚師は、タチウオに追われて港内に逃げ込んだイワシを大きな手網ですくい、オモリなしの泳がせ釣りで釣果を上げている。生きたイワシだから仕掛けを動かして誘う手間が不用。タチウオが喰い盛っているベイトだから喰いも最高。ウキは元気なイワシだと沈むくらいにシブシブに設定するので引き込むときの抵抗がなく、アタリがあればその90%以上を手中にすることが可能である。

大阪近郊の釣り場

 夏から秋にかけて紀伊水道を北上するタチウオは、徳島-淡路島間の鳴門海峡を通って播磨灘へ入り込むか、淡路島-和歌山間の友ヶ島水道 ( 紀淡海峡 ) を抜けて大阪湾へと入り込む。冬になって水温が下がるとどちらの群れも一部を湾内の深場に残したまま、紀伊水道の沖に出て越冬する。
 例年、7月の後半になって 70cm 級が釣れはじめ、1m 級まで育つ12月頃までがシーズンだが、5月にはすでに紀伊水道沖で生まれた 30cm 級の群れの回遊が始まっている。
 食べ頃サイズは、最初に和歌山周辺で釣れ始めたあと、3週間ほど遅れて湾内の一文字で釣れるようになり、つぎに地波止での釣果が聞かれるようになる。
 釣れる時期は黒潮の蛇行と海水温、エサとなるイワシの寄りつきや風向きに左右される。
 タチウオは陽のあるうちは沖の海底にいるので、一文字周辺は魚影も濃く、早い時期、早い時間から喰ってくる。夕方になると沖からエサを求めて湾岸近くまで寄ってくるので、波止からは沖向きを狙うのが一般的だが、大きな港なら内向きもポイントになる。もちろん離れ波止の場合は外向き・内向きとも釣れる。

※ 改正SOLAS条約の対象となる港湾施設では、関係者以外立ち入り禁止の埠頭や岸壁があります。釣りマナーやルールを守って楽しい釣りを心がけましょう。

大阪近郊での釣り方のコツ
~ タチウオ名人Y氏の釣行スタイル ~

大阪湾でタチウオを狙って20年のキャリアを持つY名人に釣行時のコツを紹介して貰いました

編集部:タチウオ釣りに関してどんな潮を選んで釣行すればいいでしょうか?
Y氏:とにかく潮が動くときや。小魚が動くとタチも必ず喰うてくるで
編集部:釣場にはどれくらい前に行けばよいでしょうか?
Y氏:満潮・干潮前の3時間がベストやな。でもなそれは理想っちゅうもんや。タチウオのシーズンに入ればそんな時間に行ったら釣る場所なんぞ、ありゃーせんわ。むっちゃ多いで人が。
編集部:ではどうすれば?
Y氏:昼釣っている人がおるやろ。だいたい午後3時~4時で帰る人が多いからその人らが帰ったあとのポイントに入り込むんや。(割り込むんやないでー)マキエもしとるし、小魚は多いし釣果は堅いでぇー。暗くなった途端に喰うてくるで。
編集部:シーズンになったら、夜の方が釣人が多くて、早く行っても釣人の後に入り込める確率が低いのでは?
Y氏:簡単なこっちゃ。自分が昼の釣人になればええのや。アジでもイワシでも釣れたら夜もたいていタチは釣れるわ。アジは活かしといてエサにもなるし
編集部:場所はどのように選べばいいのでしょうか?
Y氏:去年釣った実績もええけど、やっぱ地元の釣具屋にまめに通うて情報仕入なあかんやろな。わしかてそうしてるわ。(笑)
編集部:数釣りのコツを教えてください
Y氏:大阪湾ではみなだいたい2ヒロ~3ヒロから釣り始めるやんか。それでええのよ。釣れるまでは・・・そこからが違うんよ。タナをだんだん浅くするんよ。喰いが立ったらタチは浮いてくるで、浅くするとウキの消しこみ方も全然ハッキリするし、必然的にウキの消し込む回数も増えるわ。仕掛けにつけた ケミホタル でアタリがわかるわ
編集部:なるほど。裏ワザみたいなのはありませんか?
Y氏:手の内明かしたないけどなぁー
編集部:特効エサ、誘いのかけ方、アワセの入れ方のポイントだけでも。
Y氏:エサか? 基本的にはキビナゴが多いけどなー。二本バリ仕掛けやったら活餌(アジ)使うときもあるしな。最近ええなって思うのがサンマの切身やねん。縫い刺しにすると遠投もきくやんか、喰い込みがよーてええよ。最近普通の仕掛けにタコベイト使ってる人も多いでー。中に ケミホタル 入れてな。喰いが立ったらタコベイトに変えたら手返し早いでー。誘いは大きく入れる必要ない。ウキが流れていたら止める程度でええ。大きく誘うとエサが外れるし、合わせはウキが消し込んでから5~10秒カウントして、サカナの重みを感じながら竿を立てるくらいやな
編集部:貴重なご意見有り難うございました

東海・東京エリアの陸っぱり釣り場

 東京湾沖には定着系のタチウオ群がいる。駿河湾から相模湾、浦賀水道にかけて魚影は濃く、船釣りでも波止からでも充分狙えるが、黒潮は房総から大きく沖へと向かうので、外房以北ではもっぱら船釣りの対象となる。湾口では観音崎沖、金谷沖などでの船釣りに人気があるものの、堤防からの釣りはあまり一般的ではない。水深やエサの寄りつきの関係で、湾内全域の岸壁から釣ることはムリだが、川崎から横須賀周辺エリアには堤防から釣れるポイントが連続していて、例年 1m 級の釣果が聞かれる。夏から秋にかけてアジやイワシを追ってきたタチウオの群が岸寄りするので陸っぱりで楽しむことが可能だ。