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産卵と成長
【 年に2回の集団失踪 】
 グレの性比率はほぼ1:1で産卵好適水温は16℃〜17℃とされます。体長30p約500g以上から産卵が可能になり、産卵数は1s級で30万〜40万粒。卵は直径1o前後で、比重の軽い油球をもつ浮遊性分離卵です。産卵直前でお腹の膨らんだメスを除き、外観で雌雄を判別することは困難です。
 産卵時期は12月から翌年6月までと地域によって大きな差があり、例えば水温の高い男女群島では1〜2月がピークで3月にはもうエサ盗りが発生していますが、対馬や平戸だと4月末まで、本州北部になると6月いっぱいまで続きます。オナガの産卵は全体に3ヶ月ほど早くなります。
 産卵は外磯に近い湾内や潮通しのよい沖の磯場で行われます。和歌山県の串本海中公園の観察によると、ふだんは水深約6mの場所に1000匹もの群れが定着しているのに、3月後半のある日になると30p以上の個体がいっせいに姿を消して、あとには25p未満の小型だけが残されるとのこと。いなくなった群れは一週間で復帰しますが、通常、産卵シーズンにはこの集団失踪を2回繰り返すそうです。

【 夜遊びの行方 】
 しかし2008年は特殊なケースだったのか、連日夜になると普段の寝場所からいなくなり、翌日の昼の2時か3時頃に帰ってくるパターンを1週間ほど繰り返しました。夜間のことなのでどこまで行くのかまだ突き止められていません。
 抱卵期になると雌の群れは沖合に移動。浅場にいた雄の群れが合流して水面で産卵&受精が行われるとされます。
 この時期には腹部のウロコが剥げてスリ傷がある産卵後のグレが釣れることがあります。クロダイと同じように海底の岩に腹を押しつけて刺激後、海面に浮上して産卵するのかも知れません。
 産卵後はしばらくエサを追わず、海底(水深10mなら9m、15mなら14mくらいの位置)の物陰で体力の回復を待ちます。

【 成長遅めの晩熟系 】
 受精後60時間で孵化した体長2.3o程の稚魚はホンダワラなどの藻に付いて成長し、4pくらいになると浅い磯際に定着します。稚魚の頃からつよい雑食性を示し、成長するにしたがって次第に行動範囲を拡げるものの、主食は浅い砕波帯に生える苔のような緑藻類であり、水深20〜40mの場所に生えるアラメやカジメなど褐藻類や紅藻類は好みません。(海藻は太陽光の量によって分布が変化する。ページ1のイラストを参照)
 稚魚は岩についた海藻や動物性プランクトンを食べて1年で10pほどに育ちますが、他の同サイズの魚種と比べると成長は遅く、30pまで育つには7〜8年が必要です。前述の串本海中公園には体長50pの個体が15年20年と居着いているので寿命が20年以上なのは間違いありません。
[ 写真 ] 2008年2月、宗像沖の島で重量日本記録 7.32kg
[ 写真提供 ] 福岡県宗像市ヨシダ釣具店

【 大きなグレは短ハリスで 】
 大物狙いで夜釣りをする場合は、おもに浅場での釣りになるので、フカセるためにハリスを長くとる必要がありません。ハリスは短いほど糸絡みが発生しにくく、ピンポイントを狙うためのコントロールも容易になります。竿を上げたときに仕掛けを掴みやすく、予想外の大物がヒットして竿が限界まで曲がっても、ラインの巻き過ぎで竿先を折ることなく、獲物を浮かせて取り込むことができます。
 ハリスが柔らかいと瀬際の波の影響を受けやすいため、張りのあるフロロカーボンの5号程度を使います。張りがあれば壁際ギリギリを攻めても根掛かりはそう多く発生しません。暗い中でハリスを掴むには、ルミコちもとホタル をご使用ください。


水温と釣り方
※ グレは産卵後の一時期、パタリと釣れなくなります。どこに行くのか調べたところ、どうも3月になると天然の赤アミ(ジャコ)が発生し、グレはそれを追って深場に移動するようです。新鮮で栄養豊富な赤アミの時期がくれば、人間の撒く冷凍オキアミなんか喰ってられっか!という理屈です。

1〜2月 3〜4月 5〜7月
産卵に備えて荒食いし、体力をたくわえる時期。基本的にグレの活性が高くて浮きやすいので軽い仕掛けでOKですが、水温が18℃を下回るようになると、タナがコロコロと変わることがあります。そんなときはあまり潮の速くない場所で、全遊動や全層仕掛けでタナを上下に探る釣法が効果的です。 産卵後は摂食しないので、まだ産卵が終わってない個体を狙って潮の緩い産卵場所を釣るか、または餌盗りが少ないのに乗じて深いタナを探ります。グレが潜んでいそうな岩陰や沈根周りを攻めてください。低水温でパワーが落ちているため大型でも取り込むことができます。 雨で運ばれた栄養によって沿岸部でプランクトンが増え、小・中型グレの活性が高くなります。しかし同時に餌盗りたちの活性も高くなるため、潮の動きがよくないと本命が釣りづらい時期でもあります。沖磯では大物がヒットするので、サラシや浅ダナなど海中に溶けている酸素が多そうな場所を狙ってみてください。

8〜9月 10〜11月 12月
餌盗りが多くなってグレのエリアでは釣りづらいため、沖の本流にいるオナガを夜釣りで狙うシーズン。磯は猛暑でも北風が吹かないのはメリットだと考えて、普段は上礁できないような北西磯の竿抜けポイントを釣る人もいます。夜の大型オナガに挑戦してみてください。 水温のピークが過ぎて本格的なグレシーズンがスタートしますが、まだ水温が高いため餌盗りが多く、撒き餌のテクニックが求められます。良型は少ないけど浮きやすいので浅ダナでの勝負に備えて二段ウキを用意してください。夏の間釣り荒れていないポイントで大物がヒットすることがあります。 グレ釣りの最適シーズンです。地付きのグレはもちろん、場所によっては渡りのグレまで餌の豊富な浅場に寄せてきます。水温が適正な時期は夜間も釣りやすいので、ぜひ大物を狙ってみてください。夜間は周囲が見えないため、巨グレも自由に奔るまわることが出来ません。暗い時間帯が記録更新のチャンスになります。



 えっ! なになに? 
 グレは好奇心がつよい魚で、光る物や動く物に関心を示して近寄ってきます。クロダイも好奇心は旺盛ですが、寄ってきたらエサを食べるところがお人好しです。
 ところがグレの場合は寄ってきても一定の距離から近づこうとしません。ハリスについたエサの動きが不自然だと判断すれば、マキ餌は喰ってもサシエには見向きもしなくなります。
 性格はとにかく慎重で怖がり。従来から「グレは姿を隠して釣れ」と言われてきたのは、眼がいいうえに警戒心も非常につよいためです。

 写真は串本海中展望台の窓から撮ったもの。窓の向こうの人間は危害を加えないと判っているらしく、カメラを見るために近づいてきました。ダイバーたちの話によると、夜間ベラなどは熟睡しているので手に取ることができるが、グレは近づくことさえ難しいとのこと。岩陰に入って寝ているようだけどその眠りは浅く、外敵の来ない浅場といえども常に警戒を怠りません。



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