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男女群島のオナガは遠投で / 福岡市西区ナカハラ釣具店 - 店長 小関孝夫
 少し前まで、夜の大型オナガとはキャップライトを点けずに竿先だけを海上に出し、1ヒロのタナで瀬際を静かに丹念に釣る方法が一般的でした。しかし、この釣法が万能という訳ではありません。上礁するポイントや潮流、天候によっては結果が出ないのも当然のことです。ほとんどの釣人が年に1度か2度しかできない離島への遠征釣行。だれもが良いポイントに乗れるわけではありません。
「 いくら男女群島といえども良いポイントに上礁しない限り大型は釣れない 」
「 シーズン中は北西の風が吹く。風裏になる東磯は場荒れしていて大型オナガは出ない 」
と思い込むようになりました。集中力も粘りも早い時間に途切れてしまい、大型オナガを手にすることはいつしか夢になっていたのです。ところが、思いがけないことが起こりました。

【 きっかけは置き竿から 】
 ある冬のことです。ショップ主催の男女群島ツアーでその日一緒に同礁したのは70歳の超ベテラン釣人でした。瀬に上がるなり石鯛用のピトンを打ち込んでいるので「石鯛もやるのですか」と訊くと「竿を岩場に置いておくと風で飛びそうになったりするし、以前竿を踏んで折ったことがあったので・・。竿が重いのでエサを付けるときにも便利ですよ」と教えてくれました。
 夕マズメを過ぎて本格的に夜釣りへ突入。大物狙いの時間が来ました。二人ともセオリー通り瀬際を釣りますがウキはピクリともしません。アタリもなく、エサも取られない状況が続くと次第に眠気に襲われます。
 ベテランの方といっしょに休憩する事にしました。ピトンに竿をセットし、どうせ食わないのだから仕掛けはそのまま流しておきます。
 星空を眺め、コーヒーを飲みながら「小関さん、私もあと何年男女に来られるか判らないです」「磯に行きたいときにはいつでもお付き合いします!」なんていう話をしていました。釣れていないときにはこんな寂しい話題になるのです。
 と、突然!ピトンにセットしておいたリールの糸が勢いよく出て行きました。
何が掛かったのだろう? とっさに竿を握り、アワセを入れると4号遠投竿が根元から曲がります。遠方でのヒットのため何が掛かっているかわからないまま寄せてきました。
 ケミホタル をセットしたウキが近づいてきていよいよ取り込みです。このときは何の魚かわからないためライトで水面を照らしました。(通常のオナガ狙いならタブーでしょう)やがてゆっくり上がってきたのは見たこともない大きさの茶色いオナガです!磯に上げるとさらに迫力満点、その大きさにしばし見とれました。
 「まさか遠くを流していた仕掛けにオナガがあたってくるなんて!!」
 遠くを流してあたったのだからもう一回遠投して流してみよう。一気にテンションが上がった二人は仕掛けを替えて再チャレンジです。
 ベテランさんのウキは ケミホタル50 をセットしているのである程度見えますが、僕は瀬際の釣りしか考えていなかったため ケミホタル は25と37のみ。視力はいいほうなので37をつけてド遠投し仕掛けを本流に流していきます。
 スプールに巻いた糸はすでに70m以上出ているでしょう。ケミホタル37 の光が本流の中にもまれて見えなくなったころ、スプールから出る糸のスピードが一気に加速していきます! ベールを戻し、アワセを入れると確かな手応えが伝わってきました。向こう合わせに近いのに鈎がかりするのは、沖にいるためスレてなくて警戒心がないからだと思います。
 足元まで寄せてライトを点けるとまたオナガ!さっきよりは小さいけど60cm近い大きさがあります。メジャーをあててみると58cmの立派なオナガでした。
 あまりの大きさに半信半疑の二人でしたが、そのまま流してはヒットを繰り返し、大型の数釣りを堪能することが出来たのです。
 帰りの船で船長も僕たちの釣果を喜んでくれました。そこで船長から面白い話を聞けたのです。それで今回の遠投流し釣りが偶然ではなく、狙って釣れる方法だと確信しました。
@ : 男女群島の磯は海底の起伏が激しいため遠くのポイントでも浅いタナでオナガがあたってくる。針古瀬や中村瀬のように潮通しのいい突き出した(角になった)ポイントであれば東磯全体の瀬で遠投釣りが可能。
A : 撒き餌のオキアミは通常ゆっくり流れに合わせて沈んでいくように思われているが、海中に潜って見てみるとある程度までは沈んで行くけどそれ以上は沈まず、浮いたり沈んだりを繰り返しながらほぼ真横に近い状態で流れていく。船長が実際に潜って、釣人が撒いたエサがどう流れていくか見たというのです。





【 基本は太仕掛け 】
 その1ヶ月後、再度男女群島に行く機会ができました。新しい釣り方を試すチャンスです。

そこで準備した仕掛けは、

● 竿 … 4号遠投
● リール … 遠投用5500番
● 道糸 … フロート系かセミフロートライン10号
● ハリス … 大型オナガ狙いで10号
● ウキ … 海上釣堀用の棒ウキ3号

本当にこれで良いのかと思うでしょうが遠投性も視認性もバッチリ。
道糸が太いため、糸落ち重視で環付きにしてください。フカセ釣りで使う棒ウキのほとんどが ケミホタル37〜50 の装着が出来るものの、視認性の高い ケミホタル75 をセットできるウキが少ないのでトップ部分にテープを巻いて太くしています。

● ケミホタル … ケミホタル75ルミコグリーン
● オモリ … 中通し2号

ウキは3号だけどサルカンがあるのでちょうどよくなります。シブシブに設定すれば引き込み潮に吸い込まれて沈め探り釣りも可能。ラインが6号以下なら00号の中通しウキで沈め釣りもできるので竿ヌケとなっている30〜40mラインの沈み瀬を探ると面白いかも知れません。

● 撒き餌 … 普通のフカセの分量と同じで、夜釣り1回につき沖アミ4アミ1。ただし潮通しのいい場所に上がったときには、撒き餌が不足してクロを浮かせるまでに至らないことがあるので餌は多めに用意したほうがいいでしょう。
● ヒシャク … カップの大きさがミカンの半分くらいの大型。トータルの分量は普通だけどドカンドカンとまとめて撒くのがコツで、自販機の氷をすくうシャベルを使う人もいるくらいです。
● ツケ餌 … 目立たせるために沖アミの大粒またはボイルのLL。ときには2匹がけ。仕掛けを潮に引かせる効果もあります。

【 さあ実釣! 】
@ ウキ下を7〜8mにセット。最初から遠投するのではなく、まずはセオリー通りに足元から入れてアタリがでるまで沖へ流し続けます。このとき撒き餌は遠投せず足元に打ってください。
徐々に沖に流してポイントを探りながらヒットエリアを見つけていきます。

A たとえば30m先でアタリが出てエサが取られた場合、次は20mくらいまで遠投して仕掛けを無駄に流す距離を短縮します。エサが残らずウキにアタリが出ない場合はウキ下をこまめに調整してください。

B アタリが出なければそのまま流します。仕掛けを回収するときはゆっくり巻上げてエサの状態を確認してください。ここで大事なのは仕掛け絡みなどのトラブルです。絡んだままの仕掛けを長い距離流すほど無駄はありません。仕掛け絡みはハリスに付けた ルミコ の明かりが海中にゆっくり沈んでいく事によって正常に落ちているのを確認できます。ルミコ は集魚効果だけでなくトラブル防止にも役に立つので必ず使用してください。

 この仕掛けに変更してからは男女群島で毎年良型を仕留めることが出来るようになり、夜釣りの楽しみが倍増しました。しかも1枚2枚ではなく良いときは4、5枚と連発して釣れるのも魅力です。
 重要なのは動く潮に仕掛けを乗せ、喰う場所まで流すことです。アタリが無ければ100m以上流すことも珍しくありません。
 遠くで消しこむ ケミホタル の光と、そのあとに来る道糸をひったくっていく感触は病みつきになりますよ。



 デカバン秒殺! 
 一昔前までの夜グレ釣りには厳しいオキテがあった。
眼も良く警戒心のつよいグレを足もとに寄せて釣るのである。ライトは警戒されるので絶対に使わない。電気ウキも明るすぎるので使ってはいけない。気配を悟られないよう物音を立てずひっそりと釣る。獲物がかかれば間髪を入れずに抜き上げる。そのために太いハリスと剛竿を使うというものだ。
 竿は胴調子の石鯛竿が良い。ウキ下短くハリスは12号。夜はブリ上げが基本だからハリスは短いほうが楽である。ブリ上げだと磯際まで下りなくていいので危険を回避できる。
 魚に見つかりにくいように黒いカッパを着用する。タバコを吸ってはいけない。しゃべってもいけない。海に小便するなんてもってのほかだ。
 基本は瀬際だから、波で打ち寄せられないように負荷のあるウキを使い、磯から5m以上沖は流さない。波打ち際にオキアミを少量づつパラパラとかぶせ、引き波で持っていかせる。寄ってきたグレが餌を食べ、次の餌を探すタイミングで鈎を入れ、石鯛座りでアタリを待つ。ウキにブレーキをかけて仕掛けを張り、ツケ餌を先行させる。仕掛けを張っておけば誘いの効果もあり、飲み込まれることはまずない。
 喰ったらやりとりしない。太仕掛けにものを言わせてリールを強引に巻き上げ、頭をこちらに向かせる。そのまま素早くブリ上げて脇の下に抱え込む。(そのためのカッパである)。
 60p級でもブリ上げる。やり取りで疲れてないのでグレは元気だ。バタバタと大暴れするがドンゴロスをかぶせて締めてしまう。アタリからわずか5秒で勝負の早業だという。



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