■イシダイ釣りをはじめよう  〜むずかしくない究極の磯釣り〜
第3回 「タックルを揃えよう・リール」
 今回はリールについて説明しましょう。イシダイ釣りで使うリールは両軸のイシダイ用が必要です。国産のイシダイ用リールは40と50の2種があり、前者は手持ち用、後者は遠投用と考えておけばいいでしょう。つまり、この2種は大きさはもちろんですが、糸巻量が異なり、当然ながら手持ちより遠投用の方がより多くラインをスプールにストックできます。一般的には20号(ナイロン)を最低で100〜150m巻ければOKですが、80〜100m以上の超遠投釣りでは200〜250mは欲しいところです。また、クチジロなどの大型狙いの場合も30号クラスの太いラインを使うため、必然的にリールは大型が求められるようになってきます。



●ギヤについて

 リールに内蔵されているギヤについては、国産であれば以前と比べてそんなに気にする必要はなく、過去にギアが壊れたことは一度もありません。ただし、ギヤ比は大切で、あまり低いものだと巻き上げのスピードが遅く、仕掛けの回収中に根掛かりを起こす危険性もあります。参考までにギヤ比は4:1以上がいいでしょう。スウェーデン製のABU9000や10000は自動2段変速ギアを搭載しており、負荷がなければ高速、負荷が掛かれば自動的に低速となる機能を備えています。




●カウンターについて

 次に最近のイシダイ用リールに搭載されているカウンターについてですが、ハッキリいってこれがあるのとないのではタナの取り方がかなり違います。もちろんカウンターなしでも片巻(スプールの一方にラインを集中して巻く方法)や、引き抜き(ラインを手でたぐりる方法)をやれば、ある程度のタナ取りは可能ですが、初心者がいきなりやるとなると難しく、やはりカウンターを利用した方がいいと思います。カウンターの使い方は、まず仕掛けを竿先いっぱいまで巻き上げ、この時点でカウンターをリセットして「0」に合わせます。あとはそのまま投入すればカウント数が自動的に表示され、「18」や「20」など、止まった時点の数字を覚えておきます。注意することは、初めての釣り場であれば数投して正確にタナを測ることが大切で、たとえば数字が「18」で止まったとしても、もしかすると、そのすぐ横には海溝があって「25」まで入るかもしれず、これを知らないで釣っていると痛い目に遭うことにもなりかねません。具体的には、まず磯に上がって準備が整ったら仕掛けをあちらこちらに投入し、その釣り場の最深部のタナを知ることを心がけます。そして、最初は最深部か、最深部に近いタナから探りを入れ、それでアタリがないなら徐々に浅くしていくという方法がベターでしょう。ただし、春の乗っ込み期や男女群島などでは最深部からではなく、浅いタナから攻めていくこともあるので、頭の隅にでも覚えておいてください。

 カウンターは電池を内蔵したデジタルと、ギヤの回転によって表示するタイプの2つがありますが、どちらがいいかは好みの問題。私はデジタルを使っていますが、これだと「18.5」など、細かい数字も表示してくれるので、とても重宝しています。なお、カウンターの表示数字は必ずしも「m」を正確に表しているものではないため、あくまで参考値と考えておくべきでしょう。また、根掛かりしてラインが途中で切れれば数字も最初とは異なってくるので注意してください。




●ドラグ性能について

 リールについてもうひとつ大切なのはドラグ性能です。上物はレバーブレーキが普及しているので使い慣れている人も多いでしょうが、イシダイ用にレバーはなく、強烈な引きにはドラグを利用して対処します。中にはガチガチに締めて使っている人もいますが、これだと竿をノサれたり、ワイヤーを飛ばされたりする危険性が大きくなります。したがってドラグは、ラインを手に巻いて力いっぱい引っ張ると、少し滑るくらいに調整しておく方がいいでしょう。

 イシダイ用リールの価格はスピニングの上位機種に比べるとかなりリーズナブルで、1〜2万円代でカウンター付きが求められます。このため、できれば予備を揃えた方がよく、釣行時は2個をワンセットとして考えると、もし釣っている最中に根掛かりが多発してラインが少なくなっても予備のリールを使えば問題はクリアーできます。中にはリール1個でラインの予備を持参しているケースもありますが、これだと磯上で巻き替えをしなければならず、アタリが頻発しているときは時間の無駄といえるでしょう。
□ ABU9000Cは20年以上使っているが、今でも現役

□ カウンター付きリールだとタナが分かりやすい

□ 釣り場へは予備のリールを持参しよう
●リールを購入するにあたって

リールを購入する際は、ロッドを選ぶときと同じで釣具店の店頭で実際にロッドに装着し、全体のバランスを確認してください。このとき、もし重いと感じたり、手になじまない感じがしたら、違う種類を装着し、しっくりくるものを選ぶと失敗を防げます。


(バックラッシュを防ぐには)

 両軸受リールでは、スプール自体が回転するためどうしてもバックラッシュが生じやすくなります。これを防ぐには一にも二にも使い込んで練習することです。とくに遠投釣りでは勢いよくスプールが回転するため、どうにもならないくらいもつれてしまう恐れがありますので、事前の練習が欠かせません。といっても、ほんの数回投げればコツはつかめますので、まずは近くの空き地や海岸で試してみてください。もし釣り場でバックラッシュしてしまったときは、指でスプールを強めに押さえながらラインを手で引き出していくと、たいていは直ります。それでもダメなときは側板を外し、スプールを本体から取り出せばなんとかなりますが、釣り場ではビスの紛失などが起こり得るため、あまりおすすめできません。
 
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