■イシダイ釣りをはじめよう  〜むずかしくない究極の磯釣り〜
第4回 「小物について」

 イシダイ釣りでは、竿とリール以外に様々な小物が必要になってきます。ペンチ、ニッパー、ハンマー、ハーケン、ロープ、ピトン等々。これらは釣具というよりは大工道具みたいな工具(?)ですが、いずれもイシダイを釣る上では重要なものばかりです。今回はそんな小物の役割と選び方について解説することにしましょう。


●ペンチ
ワイヤーを結んだり、イシダイの口に掛かったハリを外すときに使います。ラジオペンチでもかまいませんが、ステンレス製の先曲がりタイプが錆びなくてグッドです。

●ニッパー
ワイヤーをカットするときに必要です。ペンチでも切れないことはありませんが、ペンチだと刃の部分がやや奥まっているため、どうしてもワイヤーの切れ端が残ってしまいます。ワイヤー用のハサミも同じで、切れ端があると指に刺さって痛い思いをしたり、エサが引っ掛かってしまうのであまりおすすめはできません。ニッパーは小型のステンレス製がベストです。

●ハンマー
ピトンやハーケンを打ち込んだり、エサを割ったりするにはハンマーが欠かせません。これもステンレスがよく、鉄製だと1、2回使っただけですぐに錆びがきてしまいます。最近は軽量のチタン製も出回っていますが、もしピトンやハーケンが同じチタン製だとはじきあって打ち込めないので、選ぶときは注意してください。また柄が木製のハンマーは何回か使うと抜けやすくなるので、クサビなどを打ち込んで補強してやる必要があります

●ピトン
イシダイ釣りでは置き竿をすることがあります。とくにガンガゼを使う場合は早合わせを防ぐ意味から置き竿が有利とされていますが、そんなときに絶対必要なのがピトンです。通常は足を岩の割れ目に打ち込み、その上に本体を取り付けますが、このとき足の打ち込みが不十分だとイシダイが走ったときに抜けてしまうことがあります。また最初は力一杯打ち込んでいても、時間が経過するに連れてガタが出ることもあり、私も昨年の秋にピトンごと倒されました。幸い、尻手ロープ(後述)を付けていたので竿は回収できましたが、改めてイシダイのパワーを実感した次第です。ピトンはメーカーによって形状やサイズが異なるので、選ぶ際はネジがしっかりしているか、合わせがすぐに可能か、錆びに強いかなどを吟味してください。参考までに私は浜口機工の「ポインター」をずっと使っていますが、釣行後の手入れさえしっかりすれば問題はないようです。

●ハーケン
上物釣りでは滅多に使うことがないハーケンも、イシダイ釣りでは頻繁に使います。尻手ロープの固定、ストリンガーの固定、エサ用ネットの固定などハーケンは最低でも3〜4枚は持参するようにしましょう。形状はハーケン本体の上部にロープ用のリングが付いたタイプと、ハーケン自体に穴が空いたタイプの2種類がありますが、前者は肉厚のため岩の割れ目に打ち込みにくい場合があるので、できれば後者がいいでしょう。ただし、強度の面からいうと後者は曲がりやすいという欠点があります。これもステンレス製が長持ちします。

●ロープ
ロープは使う用途によって太さと長さが異なります。目安は、ストリンガー用の場合6〜8ミリを10〜15メートル、尻手ロープには4ミリを2メートル、エサネット用は4〜6ミリを10〜15メートル用意します。ロープの材質はPEやナイロン、ケブラーなどがありますが、私の経験ではクレモナで十分だと思います。ただし、クレモナは柔らかくて結びやすい反面、腰がないので絡みやすいという欠点があるため、事前に染めておくと腰に張りが出て使いやすくなります。染め方は、染料をバケツに入れてお湯を注ぎ、そこにロープを入れて一昼夜漬け込んでおくとキレイに染まります。コツはお湯を注ぐときに塩を少々入れておくと着色しやすく、あとで色落ちすることもありません。なおロープの結び方は、もやい結びを基本にいくつか覚えておいてください。また「アイスプライス」と呼ばれる編み込みを知っておくと、ロープに結び目ができず、強度的にも安心して使うことができます

●ウニ切りバサミ
その名の通りウニを切るときに使うハサミです。ヤドカリの足やツメを切り取るときにも使うのでぜひ用意しておきましょう。材質はステンレス製を選んでください。

●ウニ通し
ウニやカニ、ヤドカリなどをハリスワイヤーに装着するときに使う針金状の棒です。溶接棒の先をグラインダーで削って自作することも可能です。よく紛失するものなので予備を2〜3本持参するようにしましょう。

●ガンガゼバサミ
ガンガゼはトゲに毒があるため素手で触るのは危険。そのためガンガゼを扱うときには専用のハサミが必要です。といっても家庭用のトングで十分代用できます

●千枚通し
俗にいう「キリ」のことです。これはバフンウニを使うときに便利で、ウニ通しではバフンウニの殻が固いためなかなか穴が空きませんが、千枚通しなら一発。柄が5センチ以内の小型がいいでしょう。


ペンチやニッパー、ハサミなどイシダイ釣りでは小物が多い。

ハンマーはオリジナル。下が竿ケースで作った小物入れ。

ピトンは竿が突っ込んでもそのまま合わせが入れられるタイプがいい。

左からストリンガー、尻手ロープ、汎用ロープ。すべて着色している。
 以上がイシダイ釣りで使う小物ですが、これらは必ずしも釣具店で売っているとは限りません。むしろホームセンターの方がよく、同じものでも安価です。最近は百円ショップも見逃せず、時化で釣行が中止になったときなどヒマつぶしに覗いて見てください。きっとイシダイ釣りで使える掘り出し物と出会えると思います。

 小物の収納は竿が入っているプラスチックのケースがなかなか使い勝手がいいです。詳しくは写真を参考にしていただけるとおわかりになると思いますが、上物用を40センチくらいに切るだけで立派な収納グッズとなります。 
 
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