03 夜グレ釣り実践編 その1

夜の居場所を夜の釣法で

 グレの生活は磯際⇔沖磯への直線的な往復が基本になっていて、夜間は浅場で休み、夜が明けると磯に出て、陽が没するとまた夜の場所へ戻ってきます。夕マズメからの時合いはせいぜい日没後1時間までに限られますが、それは昼釣りの延長で釣っているからにほかなりません。移動の時間帯をすぎて夜になれば、夜間も起きて活動する大型のグレ、または眠りが浅くてうつらうつらしているグレを撒き餌で活性化させて喰わせることになります。

 夜釣りだと太仕掛けでも見破られないのはいいことですが、エサそのものも見えない理屈になります。匂いを重視した撒き餌、または発光する新鮮なエサでアピールすることが重要です。エサ盗りの種類も限られ、釣れる魚も大型なのですが、地上も暗いため必然的に手返しは悪くなり、糸絡みなどのトラブルが発生しがちになります。中通し竿を使ったり、リールの糸巻き量を減らしたり、または要所要所に ケミホタル を使うことで対応してください。

「 ピタホタル 」は平面状のケミホタル。両面テープでピタッと貼り付けるだけでお手持ちの釣具が夜釣り対応に早変わり!

撒き餌ビシャクに貼ればカップの向きが瞬時に判ります。

ロッドに貼り付ければ踏みつけ防止はもちろん、とっさのアタリにも素早くリールの位置を掴むことができます。

ピタホタル - ピタッと貼りつく平面型ケミホタル

ちっちゃい頃から割目が好き

 グレには稚魚の頃からタイドプールや岩の割れ目を好む性質があります。成長しても岩場から離れず、夜は体色をカモフラ模様に変化させ、外敵から身を隠せる岩陰に避難します。このような習性上、エサを喰ったら反転して元の場所に戻りたがり、鈎掛かりしてピンチになればハエ根やシモリ根に逃げ込みます。瀬ズレによるラインブレイクやウキのロストを防ぐためにも、太仕掛けで臨んでください。
 メジナ科の魚は脳の視覚中枢が発達していて、情報の大部分を視力に頼って摂餌しますが、逆にそれが夜の釣師には有利に働きます。視界が利かないことを前提に、撒き餌とツケ餌が狭い範囲で同調するように心がけるといいでしょう。取り込みの楽なポイントで喰わせることがコツになります。

夏と冬の狙い場所

 日光が届きやすい浅場ほど海藻が多くてエサも豊富です。ゴロタ石の潮間帯で、干潮時は海苔が露出するような場所でも、夜の満潮になれば大物がヨコエビなどのエサを漁っています。とくに夏場は、海底が見えるくらいの浅場で思いがけない大物がヒットしてくるので、昼間は絶対にいないような場所でも竿を出してみてください。水深があまりに浅いと釣りにならないので通常は水深一ヒロまでの場所を狙います。
 冬場、浅い場所は波や風によって海水が撹拌され、水温が下がってしまうため、水温変化の少ないやや深い岩場に潜んでいます。一定のタナから動かないので、タナをピタリと合わせることが重要になります。ワンド内であれば、足もとから深い場所で水深6~10mをウキ下2~3ヒロで探ってみてください。動きが小さいので反転せず、居喰いに近いアタリになります。
 グレが沖から瀬際へと寄ってくるには、満ち潮の方が動きやすいので、上げ潮に分がありますが、移動が落ち着いて深夜になる前の午後10時前後の実績も高いようです。潮次第では夜中の2時3時でも大物がヒットしてきます。
 岬や水道など潮通しのいい場所では強烈なパワーを持つオナガの活性も高いので、諦めて寝てしまわずに大物を狙ってください。

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安全のために

 グレは荒波につよく、波高が1.5mもあるときに水深1mの浅場でエサを食べていることがあります。台風で打ち上ってしまう魚は多くてもグレが打ち上がることはまずありません。どんなに荒い磯でも釣れるためつい無理をしがちですが、一人で磯に上がることは避けてください。海苔で脚が滑るなど、事故の危険とは常に隣り合わせです。必ずだれかといっしょの釣りを心がけてください。もしもの場合に備えてフロート系のロープを持っていくといいでしょう。PETボトルをオモリにして投げれば海に落ちても救出することができます。
 夜釣りの場合は充分な照明器具を用意し、磯際などの危険な場所には ケミホタル を置いて目印にします。仲間同士で ケミホタル を身につけておけば、他の磯からも行動をウォッチして貰えるので安全性が増します。

水を入れたPETボトルにケミホタル6インチを差し込んでおくと風で飛ばされない照明スタンドに早変わり。そのままバッカンの中に入れておけます。

頭を締め付けられる煩わしさが解消されるツバ取り付けタイプのキャップライト。わずか34gの小型軽量。クリップ固定なのでジャケットにも取り付け可能。

ヘッド&ネック共に使えるものも便利。ブルー、グリーン、ピンクの3種類のラインナップ。

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極意満載!! 瀬際のグレの狙い方
解説:森方敏進

 夜グレ釣りの魅力は釣れるグレが昼間に比べて圧倒的に大型だということに尽きる。
 昼間は警戒して岩陰にじっと魚体を潜め、海底まで落ちてくるコマセだけを拾い喰いしていた大型のグレも、夜の帳が下りて辺りに闇が漂い始めるとのっそりと岩陰から泳ぎ出て餌を漁るようになる。このグレを釣るのが夜グレ釣りである。一年中夜釣りをやっている僕の経験から言うと、本格的に夜グレを狙って釣果が上昇してくるのは9月からであり、11月から翌年の2月までが最大の釣期なのだが、釣場さえ選べば一年中夜釣りはできる。ここでは夜グレの基本スタイルとなるワンドや瀬際の釣り方について述べてみよう。

餌盗り回避なら新月

 九州の海水温はここ100年で2.5℃も上昇したという。年々餌盗りが多くなっているので、夜ならばいつでも良いかというとそうでもなく、明るい満月の夜は釣りづらい。夜焚きの漁船が操業して磯場が照らされると餌盗りが集まってしまい、ツケ餌をかすめ盗られる一方でグレも警戒心を増幅させるので釣りにくくなる。したがって狙いとしては闇夜が最高である。しかし本当の闇夜となると周囲が全然何も見えない中での釣りになるので安全には必要以上に気を配り、危険な場所には ケミホタル50 を配置して足もとを常に確認しながら釣りすることが大切である。夜釣りが日中の釣りよりも危険なことはいうまでもない。足場のよくない磯で、波風がつよいときは必ず風裏のポイントに上礁することだ。

ケミホタル - 夜釣りはこれがないと始まらない

撒き餌は光るアミ

 五島列島の場合だと夜中の1時30分から2時頃の瀬上がりになるが、クチブトもオナガも時間は関係ない。普通のグレ釣場で夜8時くらいまでしか釣れないのは、夜になると居場所と釣り方が変わるからである。重要なのは潮であって潮の流れさえよければ瀬上がりしてすぐにでも喰ってくる。たとえば中五島の滝河原瀬戸は竿一本と浅くて夜グレのメッカなのだが、潮の流れが速いのでグレは一晩中動き廻っている。
 コマセには発光するアミを多めに混ぜるとよい。オキアミも新鮮であれば蛍光色に光ってみえるが、アミの方が光っている数が圧倒的に多い。ただしあまりアミを多くすると目立ちすぎて今度は餌盗りの標的になるのでバランスが肝心である。
 冬場、半夜で4時間夜釣りをして昼間も6時間程釣るなら沖アミ3kgにアミ6kg、これに沈降速度が異なる集魚剤を一袋ずつ加えて予め釣具店で混ぜておけば、釣場に着いて少量の海水を加えるだけですぐに釣りに入れる。水深のある場所ならバラけずに深くまで沈むよう固めに仕上げればいい。撒き餌はポイントに少量ずつ打ち込むのが基本である。潮流が早ければ潮上に多めに、深場にいるグレが浅場に上がってくるようにイメージして撒く。撒き餌が光れば流れ具合が見えるし、なによりもグレへのアピール力がメリットである。

付け餌は赤エビ

 付け餌は生の沖アミが基本だが、夜グレ用には赤エビの大きな剥き身が餌盗り対策に最適だと思う。赤エビは沖釣りのときに使用されるエビであり、芝海老とか打たせ海老という名称で魚屋さんに売られている。春先から店頭に並ぶようになるが、春が浅いほどエビは小さく、夏に向かうほどに型が大きくなる。
 売っているのを見つけたら大量に購入して殻を剥き、味の素を振りかけて1時間放置。キッチンペーパーでヌルヌルをきれいに拭き取ったら、大小に分けて50匹くらいずつラップに包んで冷凍庫に保管しておき、釣行毎に冷凍庫から引っ張り出して持参する。
 冷凍しておいた剥き身がなくなったときは釣具店で売っている「 海海老中 」と表示してあるものが同じ赤エビなのでこれを購入し、釣場で剥き身にして使う。もちろん、この赤エビの剥き身は夜釣りだけでなく、昼間のグレ釣り用の付け餌としても大いに威力を発揮してくれる。赤エビはキンギョやハタンポの口の中に入らない程に大きくて、落ちが早いために餌盗りの層の突破に役立つのである。

瀬際ギリギリを流す

 グレだって夜は目が見えないから、ケミブライトフック光の素 で付け餌を目立たせることが重要になる。ウキ下は大半の場合、ハリスだけの2mから2.5mでよい。付け餌がついた鈎をいかに瀬際に送り込むかがこの釣りの最大のポイントである。ハリスの上部にカミツブシを打っただけでは沖アミのような軽い付け餌は瀬際の岩根にピタリと沈下してくれず、ともすれば瀬際から外れてすぐに沖に出ようとする。これを阻止するのが ちもとホタル の灯りであり、常に ちもとホタル を頼りにして鈎の位置をコントロールしながら釣るのが瀬際の夜釣りである。
 どうしても付け餌が落ち着いてくれないときにはハリスに打ってあるカミツブシを ちもとホタル のすぐ上まで移動させてやれば仕掛けは容易に瀬際に入ってくれる。ところが沖アミではなく赤エビの剥き身を付け餌として使う場合は、赤エビの重さが効くのでカミツブシはハリスの上部に打ったままでも瀬際に入りやすい。
 大型のグレは磯カベがオーバーハングになった場所や、岩盤の下の隙間などに潜んでいる。これを少量ずつ打ち込んだコマセで刺激して活性化させ、2m~2.5mまで浮上させて餌付かせるのが夜グレ釣りの王道である。
 ギリギリの瀬際から少しでも沖目に付け餌が出るとすぐにミナミハタンポやキンギョ、アジゴ等々の夜の餌盗りが飛びついてきてグレが釣れにくくなる。海水温が低い3月の上旬といえどもこの傾向があるので、瀬際ベッタリに付け餌を入れ込んで、その瀬際を潮流通りに仕掛けを流していって夜グレに喰わせるのだ。

ちもとホタル - 世界最小の集魚ライト。2種類のアタッチメント付属!

アワセは強めに!

 クッ!と押さえ込まれた ウミホタル が、そのままゆっくりと磯根に沈んでいき、決して浮いてこないのがグレのアタリである。鋭く竿をハネ上げ、口の中に鈎を貫通させる思いで強めにアワセを入れる。鈎がかりしたグレは足もとに突っ込んでくるので竿は立てず、前に突きだした形で引きに耐えていると今度は一転して沖へと走って行く。もうこれで釣り上げたも同然である。
 安全のためキャップライトを点灯し、出来れば釣友に手網ですくい捕ってもらう。魚をすくうときはポイントを少々ライトで照らしても大丈夫だ。海を照らしてタモ入れしてもそこにグレがいればすぐに喰ってくる。大物が釣れたなら記念写真を撮っても全然問題ない。僕は取材の人のフラッシュがバチバチ光っても連続して釣れた経験が何度でもある。
 初めての磯に渡礁した場合、安全な高台に荷物を置き、キャップランプで丁寧に瀬際を照らして底の具合を確認してポイントを決める。釣座を決定したら磯の岩なりクーラーなりに座して釣りが出来るように道具類を配置する。しかる後、ゆっくりと丹念に瀬際をこするように ウミホタル を流していく。夜の大物とはこうやって釣るものなのだ。

道糸・ハリス

夜釣りでは往々にして50cmを超す大型のクチブトやオナガ、80cm級のマダイまで喰ってくる。道糸は6号、ハリスは5号が必要だ。

竿

2号の磯竿がもっとも使いやすい。暗い中で使うのであまり上等のものではなく、中程度のカーボンロッドで良いだろう。

グレ鈎は軸が短くて夜釣りでは糸が結びにくいのでマダイ鈎を使う。チヌ鈎6号程度でもOKだ。

ルミコ

本命だけでなく餌盗りも集まってくるので闇夜の場合は点発光にすること。

カミツブシ

扱いやすさ優先でカミツブシを使う。ガン玉のようにまん丸でなくても全然問題ない。

ナイトハンターは
夜釣りのスペシャルウキ

 ウミホタル の軸が全部ウキの中に差し込め、ラインスイベルも使わないから糸絡みがない。便利なことに5B以上は25と37が両方つかえるアダプター付きだ。僕は夜中に上礁して釣り始めたばかりで、マキエも打たずに ルミコ だけで釣れたことが何度もある。海の中で ルミコ に寄ってくるグレが水上の ウミホタル を警戒するなんてありえない。だから ウミホタル37 の光量で警戒されることは絶対にないが、もし気になるなら小型の ウミホタル25 を使えばいい。
 このウキは全ての号数で余浮力が3Bあるので、表示通りに5Bのガン玉をつければ、マイナス0・5号のアンカー水中とマイナスG2のウェイトスイベル、ハリスに打ったカミツブシの重さでシブシブの状態となってくれる。

ウミホタル - 見やすい球型ヘッド
ケミブライトフック - 魚の喰いが違う! 光るハリ

森方敏進

[ プロフィール ]

  • ケミホタルフィールドスタッフ
  • 九州磯釣連盟福岡支部
  • F・Cリバーサイド名誉会長
  • 全九州釣ライター協会代表幹事