01 夜釣りの心得

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夜釣りで狙える魚

夜は大人の時間

 自然界の魚は弱肉強食の世界に生きています。海では自然死した魚を見ることがめったにないのは、生態ピラミッドの頂点にいるサメやシャチ以外のほとんどの魚は、大きな敵に襲われて一瞬で姿を消すからです。
 食べられる側の魚といえども何かしら食べる必要があるのですが、太陽光が海中深くまで届くような明るい時間帯だと、敵に見つかってしまう危険があって、あまり大胆に活動することができません。そこで生き残り戦略として、多くの魚類が暗い時間帯に補食する習性を身につけました。朝夕のマズメに喰いが立つのはこのためです。明るい時間帯に、素早く逃げ回る小魚を補食するには、逃げ場をふさぐなどの知恵や捕食者同士のチームワーク、スピードなど大変な労力が求められます。逆に、暗い時間帯に動けない小魚を補食するなら優れた視力さえあれば充分です。
 浅い海の魚よりも中深海に棲む魚の方が眼が大きいことから判るように、眼球が大きい魚ほど暗視能力が優れています。眼球の水晶体は凸レンズなので、面積が大きいほど網膜に届く光の量は増加します。つまり大きく成長した魚ほど暗所での行動に適していることになります。
 陽が落ちて海中が暗くなると、小さな魚から先に目が見えなくなります。彼等にとって身動きできないほど暗い状態でも、大きな魚にとってはまだ獲物が見える明るさであり、そのときに襲いかかることでエネルギーをセーブします。
 夜間に行動する魚の目的は第一に補食です。大物ほど暗い時間まで補食活動できるため、夜釣りでは大きな魚がヒットします。日頃は慎重な大物たちも夜になれば行動が大胆になって仕掛けが届く浅場までやってきます。暗ければ仕掛けも太く、アタリも大きく出ます。しかも視界が利かないため走りまわって抵抗することができません。だから大物を取り込むことができるのです。

神経絞め
~ 鮮度を維持しておいしく頂く! ~

ATPで鮮度維持

 魚の身肉には、筋肉を動かすエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)という栄養成分が含まれています。生きている間は筋肉が疲労しても、呼吸によって補給され、また元気な状態に戻りますが、死んでしまって新しい栄養が来なくなれば、細胞内の成分を消費するしかありません。ATPが枯渇すると死後硬直が始まって、細胞内部の酵素による自家融解(腐敗)まで進むので、ATPの消費を抑えて死後硬直を遅らせることが、鮮度維持の重要な対策になります。
 魚を釣ったままで放置すると、死ぬまでの間にATPが急激に消費されて、すぐに死後硬直が始まってしまいます。逆に、生きている状態から即殺するとエネルギーを消費しないのでATPの含有量が多く、死後硬直までの時間が長くなります。

脊髄は生きている

 脊髄には、大脳からの指示を筋肉に伝える役目のほか、とっさのときに反射的に体を動かす原始脳としての役目もあります。絞めてからしばらく経ったのに、クーラーボックスの中で突然バタバタと暴れることがあるのは、頸の骨を断ち切って絞めたつもりでいても、第二の脳である脊髄がまだ独立して生きていたからです。
 魚がバタバタ動けばATPを使うので、脊髄まで完全に殺して、無駄なエネルギーの消費を防ぐのが神経絞めです。脊椎骨の各位置から出た神経は、その場所の筋肉につながっています。これは、針金を通して行くと、先端が達した部分の筋肉が順番にビリビリと震えることで確認できます。魚の全長を絞めるのに、頸からでは届かないときは、尾柄部を切断して後方からも針金を通してください。

神経絞め+温度管理

 神経絞めすると、身肉にたっぷりの栄養成分が残るため、なにも処理しないより美味しく食べられます。しかし、ただ栄養のムダ使いを防ぐだけなので、きちんと血抜きして、適正温度で熟成させて食べる味より、さらに美味しくなる訳ではありません。すぐに家に持って帰って死後硬直する前に食べるなら、わざわざ神経絞めするまでもありません。
 生き絞めで血を抜くだけにしても、さらに神経絞めするにしても、温度管理が適正でないと味は落ちてしまいます。ATPの減少を最小限に抑える温度は5~8℃が最適とされていますが、これは一流の寿司屋さんが電気のネタケースを使わず、木製の氷冷蔵庫を使うことからも理解できます。狙い通りの効果を発揮するには、絞めたあと塩氷に浸けないなどトータルなケアを行ってください。

チャレンジしよう神経絞め

 鼻腔から針金を通すワザを身につけるためには、脊髄の位置をしっかりと把握しておく必要があります。まずは確実に脊髄をつぶす練習をしてください。スポンジマットがあれば、バタバタと跳ねて身が弾けるのを防げます。硬いマナ板の上で尾をビビビッと激しく動かすと、過剰な運動によって筋肉中のATPが枯渇し、あっという間に死後硬直にいたる原因にもなります。
 魚をつよく押しつけないように注意して、よく切れる包丁で思いきりよく頸を断ち切ってください。つぎに頭を折り下げ、背骨の上にある白い脊髄の中に針金を差し込んでいきます。針金の先が逸れたり、進まなくなったりするので苦労しますが、針金を前後に抜き差しして、すでに死んでいるはずの魚がビリビリと痙攣すれば大成功。


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