第2回 タックルを揃えよう: 竿の選び方
いざイシダイ釣りを始めようとしても、いったい何を揃えていいのか分からない、という声をよく耳にします。しかし、イシダイ釣りとてクロやチヌ釣りと大差はなく、基本的には竿とリール、それに仕掛け用の小物があればOKです。といっても、あとで後悔しないためにはそれなりの予備知識が必要で、今回はとくに大きなポイントとなる竿について説明することにしましょう。
竿の選び方
イシダイ竿は上物竿を比べるとずいぶんゴツイ感じがします。メーカーが付けたネーミングも荒磯や豪快さを表しているものが多く、なんとなく腰が引けてしまう方もいるのではないでしょうか。でもご安心ください。イシダイ竿がゴツイと思うのは最初の1、2回だけで、重さや太さに馴れるのにそんなに時間はかかりません。むしろ上物竿のように神経質に扱う必要がないぶん大胆に取り回すことができ、手入れにしてもそんなに気を使うことはありません。
竿の選び方の基本は、まず釣具店の店頭で実際に竿を伸ばし、軽く全体を振ってみることから始まります。しかし、ただ単に振ってもその竿が持つ特性を知ることは不可能で、まずは次のことを頭の隅にでも覚えておいてください。
イシダイ竿のタイプ
10年ほど前は上物竿にも中硬調、硬調といった種類がありましたが、イシダイ竿は現在でもいくつかの種類があります。一般的にはM(ミディアム)、MH(ミディアムハード)、H(ハード)の3タイプが揃っており、同じメーカーの同じブランドでも硬さ(調子)が異なります。
タイプ別による特性
M | 全体に軟らかめの調子なので引き味を堪能でき、食い込みもスムーズ。反面、周囲に沈み瀬やハエ根が出ているところでは取り込みが難しくなる可能性もある。どちらかといえばベテラン向き。 |
MH | 食い込みの良さと掛けてからのやり取りは比較的スムーズ。重量的にも重すぎず、軽すぎずといった特性があり、初心者にはおすすめ。手持ち、置き竿と汎用性も高い。 |
H | 腰があって全体に硬いため大型イシダイに最適。また中小型の数釣り時でもイシダイを容易に浮かせ、そのままぶり上げることができるので手返しが早くなる。 |
これ以外にクチジロ用のHHというタイプもメーカーによってありますが、初心者の方にはMHが使いやすいといえるでしょう。 |
長さ
手持ちを主体にした九州の場合だと4.8~5.0mが使いやすい長さといえます。逆に遠投釣りでは飛距離が稼げる5.4mがベストで、馴れると100mくらいは飛ぶようになります。また九州バージョンとして4.6m前後の竿も出ていますが、これは磯の足元から切れ落ちている釣り場でないと通用しにくく、ハエ根などが出ていると瀬切れの可能性も出てきます。
重さ
イシダイ竿の自重は軽いもので500g、重いもので1kg近くもあります。これは前述のタイプによる違いや長さによって異なるためですが、手持ち釣りを基本とするなら500~600gくらいの軽めの竿がいいでしょう。反対に置き竿主体なら少々重くてもかまいませんが、手返しのスピードを考えるとやはりできるだけ軽い竿が有利といえます。ただし、イシダイ竿はメーカーのスペック表だけで判断するのは難しく、実際に振ってみると表示以上に軽く感じたり、逆に重く感じることも少なくありません。竿の持ち方は、右利きなら右手で竿尻を握り、左手でリールシートの上部を持ちます。また、リールの有無によっても竿のバランスは異なってきますので、できれば装着して持ってみることをおすすめします。
継ぎ竿と振出
もうひとつイシダイ竿選びで大切なのは継ぎ目がどうなっているかという点です。上物竿であればほとんどが振出なので問題はありませんが、イシダイ竿には振出のほか、並継、インロー継、逆並継などがあってそれぞれに特徴があります。詳しくは略しますが、最初の1本は並継か逆並継がよく、振出は予備竿として考えてください。継ぎ竿は合わせ目がきれいでスムーズに脱着できるものがいいでしょう。
アウトガイドとインナーロッド
ここ数年、イシダイ竿にも中通しのインナーロッドが登場してきました。このタイプの特徴としては風による影響が少ない、アタリがダイレクトに伝わる、肉厚なので腰が強い、などがありますが、私自身の経験上ではアウトガイドでも不自由を感じたことはありません。どちらを選ぶかは好みの問題といえるでしょう。
手持ち主体なら短めの軽い竿が疲れない
置き竿はアタリがスムーズに伝わる竿がベストだ
さて、いかがでしたでしょうか。ここまでをまとめてみると、初心者の方におすすめなのはMHの5.0mで並継もしくは逆並継ということになります。気になる価格は5万円~10万円くらいです。イシダイ釣りはウキや目印を使わず、アタリを竿先や手元で取る独特の釣りなので、竿選びはとても大切です。長く使うためにも安易に妥協せず、自分の理想に合った竿を選んでください。
竿を選ぶときは両手で持って確かめよう