05 アジ釣り実践編 その2

名手の極意満載 - 磯から夜アジ

 夜アジ釣りの魅力は、スパッと潔いウキの消し込みと、青物の一種であるというプライドをかけて最後の最後まで抵抗するその力強い引き味であろう。夜アジは数が釣れるのでその醍醐味を何度も繰り返して味わうことができる。
 コマセに寄ってきたアジがツケ餌に喰いついて ケミホタル の光を暗い海中に引き込み、竿をしならせて次々に釣れてくる。素早くタオルでつかんで首を折り、海水を汲んで足下に置いてたバケツの中に投げ入れ、すぐに生の沖アミを鈎掛けして仕掛けを投げ込み、さらにコマセを打つ。
 この動作を繰り返して、水汲みバケツの中に5匹程のアジがたまったら、一段落してクーラーの中に移してやる。たくさん釣るのだと自分に言い聞かせながら、益々手返しを早くしてアジの数を稼ぐのである。
 忙しく釣れ盛っている最中でもアジの首を折って絞め、水を入れたバケツの中で血を抜いているので、クーラーの中のアジは汚れる事もなくきれいである。完全に血が抜けているから刺身にしてもその身は透き通るように輝いている。
 アジは日本人にもっとも愛されている魚であり、煮ても焼いても酢〆にしても、もちろん刺身でも本当に美味しいので僕も毎回たくさんのアジを食べている。
 船釣りだと、昼間でも夜焚きでも海底近くで喰ってくるのに、磯からアミと沖アミに集魚剤を混ぜたコマセを撒き込みながら、ウミホタル、からまんホタル、ちもとホタル を発光させ、生の沖アミをツケ餌として釣るときは、水面近くに浮いてきて喰ってくる。
 アジは ウミホタル、からまんホタル の淡いグリーンの夜光虫に酷似した光に大いに反応して動き、ツケ餌に喰らいつくのである。とにかくアジという魚は光に反応、コマセに反応して夜は水面近くまで浮いてくる魚であると認識していて欲しい。

からまんホタル - 夜釣りに便利なウキ止めマーカー

エサ付けの極意

 日が暮れてからの2時間はアジの活性が最高に高く、真鯛鈎の9号でも口中深く呑み込んで釣れてくるが、だんだんと喰い込みが渋くなり空鈎を引くことが多くなったときには、沖アミの鈎掛けをきっちりやると確実に合うようになる。
 一投一発で合わせるためには、沖アミの頭を取り去って、その切り口から沖アミの尾の硬い部分に鈎先を忍ばせるように鈎いっぱいに刺してやる。沖アミが小さいときはチヌ鈎の3号に替える。たったこれだけのことで合わせ損ないが断然少なくなり、釣果が飛躍的に増えるのだ。
 アジは ウミホタル の光をクッ!と水面下に引き込み、その後海中まで深く引き込んだり、海面下を横に一気に引っ張って行ったりするが、ほとんどの場合は、ウミホタル の光をクッ!と押さえ込んだときに、ゆっくり竿を絞り上げるように合わせてやれば、それでギューンと竿に載ってくるものである。この釣れたアジを素手で掴んでいては手が傷だらけになってしまうので、必ず古いタオルで掴んでアジの首を折ってから、海水を入れたバケツの中に入れるとよい。50匹も釣るのであればタオルが2枚は必要である。夜釣りは周りが暗い分だけ危険である事は論をまたない。安全を確認しながらたくさんの夜アジを釣って欲しい。

ウミホタル - 見やすい球型ヘッド

 通常の夜釣りならウキ下は2mのハリスだけで充分である。ウキ止めをウェイトスイベルの真上まで下げ、ウェイトスイベルの上にウキクッション、上にアンカー水中ウキ、その上にからまんホタル、また上に小粒シモリ玉、その上にウキ止め糸と、ガッチリ固定された仕掛けセッティングがベストである。それでも季節や水温によってはウキ下が若干深くなることがあるので、この図のようにその場に応じて調節可能な仕掛けにしている。

● 竿
 ぼくの夜アジ釣りの愛竿は5mの海匠1.25号である。ときには4.5mを使うこともある。やや短か目なのはハリスを長く取りすぎないようにと自分にいい聞かせるためだ。フグが噛み切るのでハリスに若干の余裕は必要だが、アジは浮くので長いとタナが合わなくなるから、あえて少しばかり短い竿を使う。

● 道糸
 道糸は2.5号でも3号でも構わないのだが僕は4号を好んで使っている。理由は、道糸が太い程に少々乱暴に仕掛けを投入しても仕掛けが絡む率が低くなるからである。
 環付きウキのナイトハンターは、ブランコ式で道糸にセットするウキに比べると断然からみ難いのだが、それでも道糸が細くなると仕掛けの投げ方によっては絡む事がある。夜間、仕掛けが絡むと仕掛けをリセットするのに昼間よりも時間がかかるし、ややもすると集中力が折れそうになる。だからぼくは夜アジ釣りの道糸は4号を使用している。

● ハリス
 ハリスは2.5号。これ以上細くする必要はない。2.5号あれば一晩中アジを釣りまくっても、その間ハリスを替えなくても、朝まで切れることはない。

● ちもとホタル
 ハリスに装着する光は ちもとホタル 。透明なアタッチメントでセットしているが、一晩最低2個は必要であり、グリーンの光が薄くなるとアジのアタリは散発的になる。ちもとホタル の代わりに ルミコ でもよいし、光が少し暗くなった使用後の ウミホタル25 でもよい。
 アジの群れが小さいときや、月明かりや潮の関係次第では、より大きな、より強い光の ケミホタル37 が威力を発揮する事もあるが、通常ならば ちもとホタルルミコ で良いだろう。

● コマセ
 アミと沖アミを各3キロにグレ用の集魚剤とチヌ用の集魚剤を各一袋加えてよく混ぜ、海水を少し加えてよく飛ぶコマセを作る。チヌ用は沈む。グレ用は浮くので浅いタナから深いタナまで一種類で済んで面倒がない。これを「 潮上潮上、パラリだパラリだ 」と自分に言い聞かせながら投げ入れる。餌盗りの豆アジが湧いているときは、マキエを手前に、仕掛けを沖に投げ、発光体の光だけでアジを集魚して釣るとよいだろう。

● 鈎
 鈎は ケミブライトフックチヌ鈎3号 がよいのだが、フグが多いときは簡単に鈎を噛み切られる。そんなときは ケミブライトフック真鯛鈎9号 に変更するといい。

● ツケ餌
 生の沖アミの2Lサイズがいい。新鮮で夜光るものがベストである。沖アミは常にクーラーに保管しておき、使う分だけこまめに餌箱に出しながら使うとよい。

ケミブライトフック - 魚の喰いが違う! 光るハリ

森方敏進

ケミホタルフィールドスタッフ、九州磯釣連盟福岡県支部、F・Cリバーサイド名誉会長、全九州ライター協会代表幹事。

アジをエサに大物を狙う

 自然界にはアジをエサとしている、いわゆるフィッシュイーターの種類は数え切れないほど多く、例えばブリ、ヒラマサ、カンパチをはじめ、カマスやカツオ、マダイやヒラメ、ハタ、イカなどがそれにあたります。
 これを釣り人の視点から考えてみるとアジをエサにすれば色んな種類の、しかも思わぬ大物まで狙えるというわけです。
 アジをエサにする釣り方は色々ありますがここでは喰わせサビキを使った「 落とし込み 」について解説します。喰わせサビキは5~5本針の太ハリス、軸太針のサビキ仕掛けで通常のサビキ同様、スキン、魚皮、フラッシャーのついたものがあります。
 落とし込み釣りはエサに触れる事がないためエサとなる活アジを弱らせにくく、また6匹くらいのアジが縦方向に並び、ブルブルと暴れればアピール度が非常に高く、よってヒット率も高くなります。釣り方はこのサビキをアジの層に落とし、まずはサビキ針いっぱいにエサとなるアジをかけます。竿を見ているとプルップルッと小アジがついたのがわかるはずです。ついたらそのままの状態でターゲットがいる層( 大体はアジの群れの2~5m下 )に仕掛けをゆっくりと落とし込んで待つという釣り方です。
 サビキにかかったアジの動きが一層激しくなるのが竿先に伝われば、仕掛けの周りにターゲットが近づいた証拠です。
 アタリは一気に竿先までズドーンと入り込む場合と、2回程ブルブルと竿先が曲がったのちに、竿先がズドーンと海面まで突っ込むケースがあります。ヒットすると同時にカンパチやマダイなどは下へ下へと引き込みます。
 もしヒットしたタナが根に近ければドラグをきつめに調整しておき、早く根から離すようにしましょう。
 横方向に走るブリやヒラマサ、カツオなどがヒットしたときはお隣さんとオマツリしないよう、やや強引気味に早めに回収するようにしてください。青物の強烈な引きは非常に豪快で、そのやりとりの楽しさは病み付きになるはずです。
 ハタやアラなど根魚を狙う場合は海底から1m以内に仕掛けがくるようにタナを調整しますが、荒い根の場合や船を流しながらの釣りの場合は根掛かりを起こしやすく、ヒットしてからでも根に潜り込まれる事があります。
 慣れないうちはやや高めのタナ( 海底から3m程上げて待っても十分釣れる )で狙い、海底付近は十分慣れてから狙えばいいでしょう。ちなみにエサを船上でセットしてから落とす「 泳がせ釣り 」とはイキの良さが全く違い、仕掛けを指示タナまで落とす過程で起こるトラブルもないため、初心者でも簡単にできる釣りと言えます。青物や根魚、マダイにヒラメと何が釣れるかわからない楽しみもこの釣りの魅力の一つです。

ルミコ - 充実のラインナップ

鹿児島・海晴丸 中田清治

ルミカフィールドスタッフ、ゴーセンテスター、オーナー鈎テスター、東邦産業テスター
[ TEL : 080-5202-7733 ]