第7回 実践編① 投入とタナ取り

 さあ今回からいよいよ実践編です。まずは仕掛けの投入とタナの取り方について説明しましょう。ただし、これから先はイメージトレーニングだけでは通用せず、竿を持って実際に磯に立つことが肝心です。それも、できれば経験者に同行し、現地でアドバイスを受けることをおすすめします。

キャスティング

 九州を中心としたイシダイ釣りの場合、仕掛けの投入(キャスティング)は、主に足元を狙うという性質上、あまり重要視されず、アンダースローで20mも投げれば問題はありませんでした。しかし、昨今のポイント荒廃から九州でも遠投釣りが取り入れられつつあり、やはりオーバースローによるキャスティングテクニックは身につけておいた方がいいでしょう。

  オーバースローによるキャスティングは写真をご覧になっていただければご理解いただけると思いますが、①目線はポイントに向ける、②リリースポイントを体で覚える、③サミング、の3つが重要です。とくに②のリリースポイントはスプールを押さえている親指を早く離すとフライに、遅く離すとライナーになる可能性があり、どちらも飛距離を稼ぐことはできません。初心者の場合、バックラッシュが怖いという意識が働き、どうしてもリリースポイントが遅くなってしまう傾向にあるようです。③のサミングは、仕掛けが空中を飛んでいる間に2~3回軽くかけてスピードをコントロールし、最後に着水した時点で完全にスプールの回転を止めます。そして、仕掛けが沈み始めたら再び親指を緩めて、そのままラインを送ってやればOKです。サミングはヤケドをすることもあるので十分注意してください。

オーバースローは最初に後方を確認してから。オモリは40~50号、竿は5.4mが飛距離が出る。

リリースポイントを覚えるには練習しかない。できれば砂浜などで事前にやっておくと心強い。サミングも同じ。

仕掛けが着水したら一度ラインの出をストップさせ、仕掛けが沈み始めてから再び親指を緩めてやる。

タナ取り

 仕掛けが無事に着水するとオモリに引かれてエサは海底へと沈みます。やがてラインの出が止まり、リールのクラッチをONにして、いざイシダイとの対話が始まるわけですが、ここでちょっと海底の様子を想像してみてください。海底というのは石や岩があり、海草も生えています。ということは、沈下した仕掛けをそのままにしておくとエサが岩の割れ目や海草の中に入り、近くにイシダイがいても気付かない可能性もあるわけです。また、イシダイがエサの存在に気が付いて寄ってきたとしても、エサを食べにくい状況だったら、当然ながらハリをくわえて走る(これがイシダイのアタリ)こともないと考えられます。

 そこで海底に仕掛けが着底したら、軽く竿を立てて仕掛けを動かし、エサが目につきやすいように岩ダナや石の上などに置くようにします。これがいわゆる「タナ取り」というもので、もちろん想像の世界ではありますが、タナ取りをするのとしないのでは、明らかにイシダイが釣れる確率は異なってきます。

 ただし、海底が複雑で根掛かりが多発するポイントではこの限りではなく、むやみに動かなさい方がいい場合もあるので、釣り場の状態に合わせて臨機応変に挑むことが肝心です。なお、一般論からいうと、手持ちの宙釣りではタナの上、遠投釣りでは落ち込むところ(海溝や岩の間=イシダイの通り道)となっているようですが、必ずしもこの通りではないようです。

遠投釣りではピトンに竿を掛けておくが、その際にもタナ取りは欠かせず、通常はタナを取ってから竿を掛け、それからラインのフケを取る。

 余談ながら、ここ数年は遠投釣りをよくやっていますが、イシダイが釣れる確率は宙釣りオンリーのときに比べて倍の釣果を得るようになりました。また、今までだと足元から水深があることを条件にポイントを決めていましたが、遠投では3mでも大型が出るので上物釣り場でも問題ありません。釣り場開拓の意味を込めてみなさんもやってみられてはいかがでしょう。

同じクラブのメンバーが水深3mで釣った62センチ。釣り場は平戸宮ノ浦で船長は「上物でも滅多に上げない・・・」というポイントだった。その後もコンスタントに釣れ続いている。