03 実践編 その1

ウキ釣り

仕掛け

 ケミホタル を使った夜釣りがもっとも一般的です。4.5~5.3m の磯竿3~4号に、3000番までのスピニングリールに4~6号の道糸をセットして、ケミホタル対応のウキ を使用します。 ( 下図参照 )
 仕掛けを作りおえたら、キビナゴかサバのタンザクを鈎につけ、集魚用の 「 ケミホタル太刀魚 」 を点灯させます。まだ日が明るいうちでも深場は暗いので、眼のいいタチウオに、仕掛けをアピールするための必須アイテムとして、ケミホタル が絶大な効果をもたらしてくれます。

関西での仕掛け例

東海での仕掛け例

ハリの種類とイワシの付け方

 タチウオは鋭い歯を持っているため、ハリスにワイヤーを使用したり、チモトを蛍光チューブで補強して釣ります。
 喰いがよいときは1本鈎の方が手返しが良く釣りやすいのですが、喰い渋っているときや小型が多いときは三本鈎が有利です。

ポイント

 夕方早い時間なら沖の深めを狙ってください。夜になると沿岸に移動してくるので、徐々に手前の浅場へと狙うポイントを移動させます。そして、最初の1匹が釣れたら、そのタナを中心に上下を探るようにします。
 ユラリユラリと漂う ケミホタル が水中に引き込まれたら、竿先にアタリが伝わるまで待ってから合わせます。はやる心を抑えて、我慢をするのがタチウオ釣りの醍醐味だと言ってもいいでしょう。ウキに変化が出始めてから、本格的にウキが沈み込むまで3分以上もかかることがありますが、喰いが立ってくればウキを一気に消し込んでくれます。そうなったら一呼吸おくくらいのタイミングで合わせても構いません。タチウオがエサをくわえて持ち上げたときは、棒ウキの場合、ウキが寝てしまうようなアタリが出ます。これを喰い上げと言いますが、こういう場合も見逃さずにそーっと道糸を引いて聞き合わせしてみましょう。

ピカピカドンドン - 光がユラユラ上下する

中級者、上級者の釣り方
~ 全遊動誘い釣法 ~

ケミホタルフィールドスタッフ
池永祐二 名人

 メジナ釣りのトップアスリート、池永祐二名人はタチウオ釣りも大得意。シーズンになったらメジナそっちのけでタチウオ釣りに出かけているらしい。名手の釣法とはどんなものか? ルミカ企画室がその極意を伝授していただいた。

磯釣り仕掛けでそのまま釣れる!

タックル

キビナゴ以外の特効エサ

CHAP-ON - よく飛び、よく見える!

じつは器用なタチウオの捕食

 沖の深場にいるときのタチウオは、ベイトに噛みついたらすぐに食べてしまうのに、堤防からのウキ釣では、エサを飲み込むまでに何分もかかります。そのため一般には捕食がヘタだと思われているのですが、すぐに飲み込まないのは、浅い所までやってきたので用心して、仕掛けの抵抗に敏感になっているからです。ナマリが重ければエサを持って行くのに重さを感じます。ウキの浮力が大きければ、海中に引き込むときの抵抗も大きいので、エサを放してしまう確率が高くなります。できるだけ違和感を与えないよう、浮力の小さいウキをシブシブで使うことが釣果につながります。
 タチウオ船の船長さんが海面近くで観察したところ、前進とストップ、バックを組み合わせてエサのタンザクを少しずつ囓りとっていったそうです。驚くべきことに、エサに噛みついたら体をローリングさせて捻り切ることもあったといいます。
 じつは相当にエサ取り上手なタチウオ。実際にはどのように捕食しているのか、水族館で観察してみました。エサのキビナゴは水槽の中でも水流のある場所から投入します。飼育員さんによると、死んだエサを与えるときは水流で動きを与えないと食べないとのこと。いったいどのようなパターンでエサに喰い付くのでしょうか。

● A-1 : 沈んでいくキビナゴに斜め下からスーッと近づいて、エサをくわえてからもスピードを変えずに去っていく。
● A-2 : キビナゴをキャッチした瞬間に頸を振って回転させ頭から飲み込む。頭部を切り離して胴体だけを飲み込むこともある。
● B-1 : キビナゴまで一定の距離に近づいたら、同じスピードで沈みながら観察したのち、体をS字にくねらせて一瞬のタメをつくり、バネが弾けるような速さでベイトに噛みつく。
● B-2 : 斜めの姿勢のままキビナゴを観察する。じっと眺めて噛みつく方向を検討していると思ったら、反対側に瞬間移動してキャッチする。
● B-3 : キビナゴといっしょに沈んでいき、斜めの姿勢のまま素早く平行移動して喰い付くこともある。体を伸ばしたまま背ビレの力だけで移動するようだ。
● B-4 : 斜めの姿勢でキビナゴをロックオンしたまま、同じスピードで 2m も沈んでいくことがあった。右の写真の距離が、ベイトを両眼で立体視でき、一撃で襲うことができる間合いである。

 キビナゴは頭が小さいので水平に沈んでいきます。アジのように頭から沈んでいくエサだとまた違った結果になるかも知れません。 [ 取材協力 ] 大分マリーンパレス水族館「 うみたまご 」