ページ1ページ2ページ3 : このページですページ4

太刀魚釣り実践編その2

船釣り : ジギングの技

 タチウオの活性は水温や水深、プレッシャーの有無など様々な要因によって変化します。その日の状況に適した誘い方を見つけることが重要なので、釣れている人の様子も参考にしながらヒットパターンを探ってください。
 一般的には水深と同じグラム数のジグを使いますが、活性が低いときに思いジグだと動きが速すぎることがあります。喰い気が乏しいときや、潮が動かないときにはアタリの出やすい軽めのジグをお勧めします。ひらひらとスローに落ちていく巾広タイプのジグをグロー系とホログラム系の2種類準備してください。どちらを使うかは潮の濁りで判断します。ケミホタル は視界のよくない海中でジグの位置をアピールしてくれるマストアイテムなので手間を惜しまずに装着してください。
 ロッドは5〜6フィートの柔らか目が主流です。硬いロッドだと、シャクったときにジグを弾いてスレになりやすいので注意してください。青物用なら一番柔らかいロッド、バス用ならミディアムクラスで充分使えます。リールはスピニングよりもベイトの方がフォール中の糸フケが少ないため、アタリを見逃さずにフッキングに持ち込めます。
 ラインはPE1〜3号で、リーダーはやや細目の 20〜30lb を使います。ロストを恐れてワイヤー類を装着するとヒットが激減するので注意してください。
 アクションは青物と違って単純です。リール1回転に対して1回シャクリのワンピッチジャークで、ゆっくり誘っては止めるを繰り返せばOK。活性次第ではフォールでどんどんアタってきますが、ここで喰わすとジグがステイしたときにラインが弛んで切られ、時合を逃がしてしまいます。フォール中にアタリがあったらタナを覚えて、その上下を巻き上げで探るのがプロの技です。ラインが張っているのでアタリが取りやすく、ジグのロストも防げます。

@ ヒットパターンを素早く把握
A 常に変化するタナを逃がさない
B 誘い上げで喰わすのがプロ

船釣り : エサ釣り

 防波堤から狙うよりも大型が釣れ、初心者でもボウズが少なく、沖釣りの入門にうってつけなのがタチウオの船釣りです。
 タチウオの群れまたは捕食している小魚を魚群探知機で見つけるので、いったん魚群が見つかれば、船長の指示するタナで誘いをかけるだけで数釣りが楽しめます。
 乗合船はサバのタンザクを用いるエサ釣りが基本になります。ウキは使いません。船の真下を釣るので、仕掛け沈降時に糸絡みを防ぐテンビンを使います。両テンビンと片テンビンがありますが、絡みにくくて扱いやすい片テンビンをお勧めします。タチウオ仕掛けはトラブルが多いので、できるだけシンプルにしましょう。( 地域や遊漁船によって指定があるので、利用する船に問い合わせてください ) 竿は 2.7m の短めを使用し、両軸リールにPE2〜3号の道糸を使用します。片テンビンには80〜100号のオモリをつけ、さらに1ヒロほどハリスを足してサルカンにチューブ仕掛けを取り付けます。このとき片方を 60〜75cm 、長い方をその倍以上にすると絡みにくくなります。

《 後ろ向きに泳げるタチウオ 》

 タチウオは海底から急浮上して小魚を襲うとき、獲物から眼が逸れることがないよう、体をまっすぐにしたまま背びれの力で泳ぎ上がります。活性が高いときには水面をバシャバシャと奔るように泳ぎますが、このときは背ビレが使えないので体全体をくねらせます。タチウオの引きに重量感があるのは、タチウオが後ろ向きにも泳げるからです。今度タチウオを釣り上げたときによく観察してみてください。背ビレは頭部に水を送って体を後進させる方向に動いているはずです。

ライトタックル

 深海魚出身のタチウオは深場を本来のテリトリーにしています。そのため深場では安心して一気に飲み込むことがあっても、アウェーとなる岸近くや浅場では警戒してモゾモゾと囓り喰いします。アタリは多くても掛けるのは難しいため、自然な動きの軽い仕掛けで誘い上げるのが基本になります。エサだけを噛んでいる状態から鈎を喰わせるまでの駆け引きがLTタチウオの醍醐味です。
 水深がある場合はスローで巻き上げればOKですが、浅場の場合は必然的にタナも薄くなるのでショートストロークで探っていきます。浅いほど逃げ場所がないため警戒されやすく、アタリから鈎がかりまで時間がかかるようになります。タナの厚みがないときにスピーディにしゃくるとタチウオがエサを追いきれないので、エサをじっくりと見せる感じで誘ってください。

1 : 仕掛けを指示ダナまで下ろしたら
2 : 竿で 30〜50cm ほど聞きあげて
3 : ラインを巻き取りながら竿先を下げる
4 : また 30〜50cm ほど聞きあげる


 狭いピッチでゴー・ストップを繰り返しながら水面までタナを上げていき、アタリがあったらそのタナを中心に探っていきます。同じ場所でエサを踊らせて誘うときは、竿先だけで上下を数回繰り返してからタナを 1m 上げます。テンビンが見えるくらい水面近くまで上げても喰うことがあるので最後まで気を抜かないでください。

テンヤと胴突き

 テンヤは軽いのでアタリを取りやすく、胴突きは流れが速いときでも絡みにくく、タナを広く探れるのが特徴です。ただしこの2つは重さが異なるので乗合船の場合はオマツリに注意してください。どちらも仕掛けをいったん底近くまで落としたら、ゆっくりと巻き上げて誘います。ヒットしてリールを巻いている途中で急に軽くなることがありますが、ラインを緩めずに速やかに巻き上げてください。昼間でも水深がある場所を狙うときには小型の ケミホタル を鈎の近くにつけて誘引するとバツグンの効果が得られます。

《 ケミホタルは大きさによって取り付け位置を変える 》

 タチウオがまだ遠くにいるときには、視認性の高い大きな ケミホタル を使いますが、すぐ近くまで寄ってきたときに、折ったばかりの明るい ケミホタル だと警戒されることがあります。そのときは仕掛けの上の方まで移動して、エサの近くには ケミホタル25ミニ や、からまんホタル などの小さな光を取り付けてください。
( 左図の取り付け位置はおおよその目安です。海面の明るさや ケミホタル の明るさ、海水の透明度によって調整してください。 )


曳き釣り

 タチウオ用のテンヤ仕掛けに、生きたドジョウなどの餌を針金で巻き付けて海中を引きながら釣ります。ルアーではなく、活きたエサを動かしてアピールするのでヒット率が高くなります。ウキを使わないのでタナ合わせの面倒がなく、テンポのいい釣りができるのが特徴です。
 ドジョウはエサ持ちが良いので5〜6匹も用意すれば充分です。タチウオが釣れると、ドジョウはボロボロに傷ついてしまいますが、その方がニオイが流出して喰いがいいので、あまり頻繁に交換する必要はありません。鈎に取り付けるときは、ドジョウができるだけ動けるように、尾の部分はフリーにしておくのがコツです。活き餌はちょっと苦手という方には、ドジョウ型のワームが市販されているので、これを利用する手もありますが、喰いは本物に適いません。

 一投目は海底まで沈めて、着底までの時間をカウントしておきます。最初は水深の80%くらいにタナを決めて水平に引くように狙います。その後、カウントダウンの量を調節して、2m ピッチでタナを上げながらアタリを探ってください。仕掛けがシンプルなのでトラブルが少なく、飛距離もかせげます。
 釣れたタナと同じ水深をキープすることに気をつけて、もし喰いが悪ければ、テンヤをゆっくり動かしたり止めたり、上下にシャクったりしてアクションをつけると効果的です。

ズボ釣り ・ ノベ竿釣り ・ ノマセ釣り

 ハロゲン投光器で海面を照らして竿下に小魚を集め、その小魚を食べにきたタチウオをミャクで釣るのがズボ釣りです。釣具の他に、300〜500W の投光器と発電機が必要になりますが、いい場所さえ選ぶことができれば、手返しがいいだけに数釣りが楽しめます。投光器がなくても、浮き桟橋などで入れ喰いになったときに数を稼げるのがノベ竿釣りです。ウキもリールも使わず、竿先にラインを結び付けただけのノベ竿釣りは感度ビンビン! 型が小さくてもスリリングなやり取りを味わえます。
 どちらもエサは冷凍キビナゴが一般的ですが、現地調達の活きた小魚を使うノマセ釣りの威力も絶大です。投光器の灯りにカタクチイワシが群れてきたら、網ですくうかサビキで釣り上げて活きエサにしてください。竿はインターラインの1号程度。リールはタナ取りが簡単で、アタリが出てからラインの送り込みができる小型両軸がお勧め。ウキは使わず、オモリは中通しの0.6〜3号。チモトの上、30cm 位のところに ケミホタル25 をセットするのを忘れてはいけません。



使える機種は少ないが、スプールとアームの隙間が広いリールなら ピタホタル mini を貼りつけることが可能。ドラグをスルスルにしておけば、ヒットを視覚的に知らせてくれる

タチウオの刺身

ほかの魚種に比べて可食部分が多く、料理も簡単なタチウオ。釣りたてのタチウオをしっかり堪能できる刺身にチャレンジしてみましょう。

いくら大きくても大味にならないのがタチウオ。できるだけ身が厚く、脂の乗ったものを選んでください。釣ったばかりなら銀皮造りにすると、皮と身の間の脂肪分が美味しくいただけますが、皮を引くと身がボロボロになりやすいので注意してください。

《 自腹が傷まない方法 !? 》

 フィッシュイーターであるタチウオは、タンパク質を消化する力がつよく、釣られたあとも内臓が自己消化のため崩れていきます。そのため鮮度落ちが激しく、実際の鮮度よりも古く見えることがあります。
 とくに底びき網で獲ったものは、銀箔がはがれ落ちるため傷んで見えやすい傾向があります。鮮度が落ちるのを避けるため、漁師さんは傷みやすい腹を上にしてスチロールの箱に並べます。
 銀色の箔に光沢があって、身を押さえて硬いものは鮮度がよい証拠です。


@ タチウオは背骨が鋭く硬く、小骨も多いので料理には注意が必要です。とくに先端の尖った歯がキケンなので、最初に口先を切り落としてください。つぎにアタマのつけ根から胸ビレの後ろにかけて斜めに切ります。尻尾は刺身になりませんから、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。

A 筒切りにしたら、小骨の多い背ビレをとりましょう。片面づつ2回、ヒレのつけ根からV型に包丁を入れてヒレを引っ張ります。または、背ビレに沿わせるように平行に深く包丁を入れてもOKです。腹側のワタから後の部分にもヒレ骨がありますので、包丁を入れてください。

B 腹を割らずにワタを抜きます。新聞紙を敷いておくと後片づけがラクです。ここまでで下ごしらえは完了! あとはサシミ・焼き物・揚げモノと自由自在です。

C 腹側と背中側から包丁を入れて三枚におろします。釣ってから2日以上たつと皮のグアニンが匂うようになりますから、包丁の背かタワシで銀箔をこそげ取ります。

D 腹ボネと血合い骨をすき取ってください。黒い腹膜はハブラシを使って取っても大丈夫です。タチウオの身はタテに等間隔の筋が入っているので、指先でも簡単に区分けできます。

E 5cm くらいに切って盛りつければ糸造りの完成。これをさらに細かくきざんで、たっぷりの薬味 ( ネギ・ショウガ・大葉 ) を加えれば香味満点のタタキに大変身!

九州釣り情報は株式会社ルミカが運営しております。www.lumica.co.jp
copyright (C) 2000-2013 LUMICA Co., Ltd. - Kyushu Fishing Information Service. all rights reserved.