クロダイ釣り実践編その1 - ポイント選定やタックル選びのコツ

エリア別のコツ

 ダイバーさん情報によると、いろんな魚がいるところへ潜水して近づいていくと、まず最初に逃げだすのがクロダイだそうです。一匹が驚いて逃げるとほかの魚もつられて逃げだします。クロダイの次にはメジナが逃げだし、さらにニザダイやアイゴが続きます。ベラなどは動こうともしないのに、いつも真っ先に逃げ出すのがクロダイとの事です。
 クロダイはそのくらい警戒心がつよい魚なので、日光があたってハリスが反射したり、仕掛けが見えたのでは喰ってくれません。
 1940年代の終わりに、透明で強度の高いナイロンラインが登場するまで、クロダイは昼間釣れるような相手ではなく、もともとは夜釣り専用のターゲットでした。
 日没前には太陽光の入射角度が浅くなって、日光の大部分は水面で反射してしまい、地上には明るさがあっても、海中では釣り糸が見えにくい絶好の条件になります。
 この時間帯はクロダイの喰いも立っており、よほど不自然な動きをしない限り仕掛けを見破られることはありません。
 丈夫な仕掛けが使えるお陰で、昼間のようにムダに遊ばせる必要がなく、残りの魚を散らさずに、そのまま次のヒットに持ち込めるのもメリットです。

堤防

 川の流れ込みがある内湾の堤防で、近くにイカダでもあればベストです。養殖イカダは当然として、釣用イカダも撒き餌をするため、居着きだけでなく回遊性のクロダイまでが足止めされます。
 ポイントが豊富な堤防周辺ではコマセを撒かなくても釣れます。現地に生息しているフジツボや牡蛎虫、イガイの付け根にいるゴカイに似た虫など、クロダイが常食しているエサが効果的です。夕マズメからの時間帯、止まっている潮が動き出して30分〜1時間がチャンス! 日中は用心している大物も、あたりが暗くなれば動きだします。潮が不安定に左右に入れ替わるような場所を狙ってみてください。
  1. 潮が引きったころに底洗いの濁りがでます。大潮の夜、下げの8分から上げの2分までが大物を狙える時間帯です。
  2. 満潮の前後には足元まで寄ってきています。意外な浅場で釣れるので、水深が 2m もあれば竿を出してみてください。
  3. 月明かりのある夜と、引き潮の時間帯にはできるだけ沖目に遠投します。
  4. 釣人が多くて、魚がスレている堤防でも 40m くらい先にはまだたくさんの魚が残っています。遠投ウキで竿抜けポイントを狙ってください。

地磯

 磯の夜釣りでは、クロダイが入り込んでくる移動ルートを見極めることが重要です。クロダイは沖から続くワレや溝を辿って、岩と岩に挟まれて潮が直接当たらない場所にやってきます。サメなどの外敵から見えない閉鎖的な浅場が、クロダイの食堂兼寝室です。眠り込んでも流されない程度に潮が緩く、襲われたときの逃げ道が確保されている場所を探してください。
 アタリは大きく出るので釣り方は難しくありません。ポイントに10〜20分ほど撒き餌をしたらあとは待つだけです。夜は景色が見えず、正確な打ち込みが難しくなるので、撒き餌を散らさないように、とにかく一点に集中して打ち込むことに専念します。
 根掛かりでラインが切れてもウキをロストしないよう、また振込時の糸絡みを防ぐために、ウキの下には 「 からまんホタル 」 をセットしてください。仕掛けを投入して、ウキと からまんホタル の光がひとつのままなら糸絡みしている証拠。そのままでは絶対に釣れないので回収して再投入します。どんなに複雑な潮だろうと、ウキと からまんホタル の光の位置関係から、撒き餌を打つ場所を知ることができます。もちろん仕掛けが馴染む途中のアタリを取るのも容易です。

離島

 大物を狙って離島まで遠征するときには、船長に釣場の水深を聞いておくとか、荷物を間違えて下ろさないよう ケミホタル を目印にするなど、周到な準備が釣果につながります。
 もし夜間に瀬上がりするなら、自分がどの瀬に上礁したのか判るよう、地図を頭の中に入れておくことが大切です。暗くて景色が見えなくても、上礁する瀬の位置が把握できれば、潮の動きを先読みすることが可能になります。
 沖磯でも地磯と同じように、潮が溜まる場所や、流れの緩やかな場所をポイントにしてください。雨が降ったときに淡水が流れ込むような場所、海底が駆け上がりになっている場所は狙い目です。クロダイは 「 意外性の魚 」 です。警戒心がつよい割に好奇心もつよく、思わぬ場所で捕食しているので、アタリがないときにはセオリーに捕らわれず、いろんなポイントを探ってみましょう。

河口

 夏場のクロダイは淡水混じりの汽水域から、水温の低い河川域まで行動範囲を広げます。河口では雨後で濁りが出たときが数釣りのチャンス。ただし、あまり雨が多いと塩淡成層 ( 比重の違う海水と淡水が混じり合わず層になった状態 ) が変化しやすいので釣況は安定しません。クロダイが居着くには上側の淡水層と下側の海水層の温度差が小さいことが条件になります。
 淡水が流れ込む範囲には、磯でやっかいなネンブツダイなどの餌盗り軍団がいません。したがってオキアミでも大丈夫なのですが、川底が砂泥地なら、砂泥地を本来の住処とする虫エサに分があります。虫エサは細軸の鈎を使うと長持ちします。新鮮な青ケブや本ムシは重量があって動きがいいため、ウキの感度を甘めにしてアタリをとるのがコツです。

藻場

 夜は地上の様子が見えなくてクロダイも安心するのか、浅いゴロタ浜や藻場まで寄ってきます。産卵期のクロダイはこの藻の根元に潜んでいます。しかし、タナを藻の根に設定したのではエサを見つけることができません。藻が立っているときはタナを藻の上に設定してください。藻の隙間から撒き餌が落ちてくるので、藻の上まで浮いてきて補食します。
 流れがあって藻が寝ているときは、クロダイは居場所がなくなって藻の上に出てきます。だからやっぱりタナは藻の上でOK。水温が上がって目隠しの藻が切れる時期にはエサを見つけやすくなるためアタリが頻発します。

■ 夜釣りはこれがないと始まらない - ケミホタル ■
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■ 夜釣りに便利なウキ止めマーカー - からまんホタル ■
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朝夕のマズメから半夜釣り、夜釣りに便利なウキ止めマーカーです。いつも通りの仕掛けでOK! 暗くて仕掛けが見えにくいときに光るウキ止め 「 からまんホタル 」 に取り替えてください。潮が速いとき、複雑なとき、湧昇流があるときに仕掛けが入る方向を確認できます。仕掛けの方向が見えれば撒き餌を打つ場所がわかります。発光が終わってもそのままウキ止めとしてご利用いただけます。
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タックルの極意

ロッド

 昼間は小型しか釣れなくても夜になれば 40cm 級が廻ってきます。パワフルな大型ゲストに備えてロッドは1〜1.5号を準備してください。夜間はライトで照らした範囲しか見えないのでついつい目配りがおろそかになります。穂先へのライン絡みを防ぐため、ガイドのない中通しロッドをお勧めします。仕掛けが重いので糸の出は問題ありません。
 糸がらみは、ほとんどの場合、エサ付けなどで仕掛けのテンションがなくなったとき、ラインに残ったカーリングが原因で発生します。外ガイド竿を使うときは、釣り始める前にラインを伸ばしてクセを取っておいてください。

リール

ピタホタル #2500〜#3500。スプール一杯にラインを巻くと、巻きが緩んで絡むことがあるので8分程度の量にします。リールの付近に ピタホタル を貼り付けておけば、誤って竿を踏まずに済むうえ、とっさのときも正しい位置を握ることができます。

ライン

 クロダイの本来の居場所は底なので、ピンチになると底に逃げ込みます。根に潜られないよう、その場で強引にやりとりできる太仕掛けで備えてください。道糸は3号でも魚に見破られる心配はありません。警戒心のつよいクロダイは一度バラすと極端に活性が落ちるので、とにかく取り込むことを優先します。

ウキ

 夜釣りでは小さなアタリを取る必要がありません。ケミホタル が消し込めばそれがヒットです。昼間ならウキがジワリとシモったのを目で確認できますが、夜だとアタリとの見分けが難しくなります。そのときは標準よりも軽いオモリを使って対応してください。

ハリス

 1.5〜2号を1ヒロ程度。竿を上げたときにウキ下をつかみやすい長さにします。エサ盗り軍団が影を潜めるといえ、フグやウツボなどの攻撃は避けられません。夜はキズやキンクを目で見て確認することが難しくなります。指先でラインをなぞるようにして頻繁にチェックしてください。とくにチモトから上 5cm は要注意です。

 基本的には付け餌のサイズで決定すべきですが、サイズを一段上げて大きくすることで、小魚に鈎を呑まれにくくなり、大物一発にも対応できます。蓄光塗料を塗布した ケミブライトフック ならオキアミを光らせるという大ワザも使えます。

照明具

 瀬渡し船から下りて周囲の状況を調べるときや、釣座を移動するときには大光量のライトが必要です。ベースキャンプとなる場所には消費電力の少ないLEDランタン。エサ付けとライン結び用に、汚れた手でもON/OFFが簡単に行えるヘッドライト。これは近くを見るだけなので大光量である必要はありません。

撒き餌

 発光するアミを使うのが夜釣りの鉄則。アミエビもオキアミも鮮度がよければ発光して暗い海中で目立ってくれます。アミを使うと粘りがでるので配合エサは一袋分でOK。暗くても見えやすい白さ優先の成分と、嗅覚に訴えるニオイのつよい成分を主体にします。水中に音を伝えないよう、混ぜ込みは別の場所で済ませておいてください。

タモ

ケミホタルでマーキングして視認性UP 釣場についたら一番にセットするのがタモです。タモさえあれば仕掛けの準備中に何かが海に落ちても掬うことができます。




安全のために

マーカーライトで自分をマーキング 釣行前には天気予報で風向きと波の高さを調べてください。携帯電話は車のキーといっしょに防水ポーチに入れて身につけておきます。
 明るいうちから釣場に入れたら、まず高い場所から沈み瀬の状況を調べます。大物がたくさんいそうで、向かい風にならず、波をかぶらず、取り込みやすい場所に釣り座を決め、危険な場所には ケミホタル を置いてマーカーにします。
 磯は海藻で滑りやすいのでスパイクブーツとライフジャケットは必需品。転倒したときに備えて、暑い時期でも長袖長ズボンを着用してください。ヘッドライトの光だと海が実際以上に浅く見えます。岩の起伏も判りづらくて危険なので単独行は避けてください。自分自身にもマーカーを付けておくと、よその瀬に上がった友人からウオッチして貰えます。

エサ箱

 フタの内側に粘着テープか輪ゴムで ケミホタル75 を取り付ければいちいちライトで照らす手間がなくなります。撒き餌用のバッカンには大きな光量の ルミカライト6インチ 。小さな ケミホタル だといっしょに掬って投げてしまいます。

ヒシャク

 輪ゴムで ケミホタル を固定しておけばカップの向きが判って便利です。軽くてなくなりやすいので、つよい風で飛んでいかないよう尻手ロープを付けてください。

■ よく飛び、よく見える! - CHAP-ON ■
CHAP-ON


マズメ時には赤色のLEDがよく見えます。陽が落ちきってからは緑色の方が目が疲れません。赤いLEDの場合は、海の中には赤色に光る生物がいないという理由から、魚に警戒されるのでは? という疑問が発生します。しかし、海中で遠くまで届くのは青や緑の光であって、赤い光は海中に入ると急激に減衰します。森のお猿を先祖に持つ人類には緑色がよく見えますが、青い海に棲む魚類の視感度は青を中心にしていて、赤色はあまり見えないそうです。ここは割り切って、明るくよく見えるウキで、遠くのエリアまでしっかり探りましょう。
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■ ピタッと貼りつく - ピタホタル ■
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■ スイッチPUSHで安全の明かり - M-1 マーカーライト ■
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■ 光が違う! 元祖光る鈎 - ケミブライトフック ■
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ウキフカセとは

 クロダイは普段、海底から 1〜2m の層を遊泳して底生のエサを食べているため、撒き餌も基本的に海底で補食します。魚はたくさん集まればエサの争奪戦を始めるものですが、クロダイの場合、撒き餌の中心に突っ込んでエサを独占するようなことはなく、端の方で上から落ちてくるエサを待っています。このような習性に対応して、重い撒き餌を使って底を釣るのが従来からのクロダイ釣りです。
 ところが、エサを競い合うライバルが多いときには、さすがのクロダイも活性が高くなって2ヒロから水面近くまで浮きあがります。このようなヤル気の出た群れを手返しよく釣り上げるべく開発されたのがウキフカセ釣りです。
 撒き餌で浮きあがるのは青白くてパワフルな回遊性クロダイです。したがって地つきの大物を狙うのには不向きですが、群れで回遊するクロダイを足止めし、短いストロークで釣り上げるには最適の釣法です。撒き餌には、自分の釣りやすい場所に群れを誘導する役目もあります。
 釣り始めや、喰いがよくないときには全遊動でタナを探ります。海中では、小さなオモリが付いただけのエサが、撒き餌と同じような自然な動きをして、スレたクロダイにも喰わすことができます。エサをくわえてラインを引き込むとき、ウキの浮力分だけ抵抗が発生するので、浮力をできるだけゼロにするのがポイントです。この、軽い仕掛けを潮に乗せて上から下まで探る攻撃的な釣法は、トーナメント的な効率優先の思想とともに広まってきました。
 仕掛けが沈んでいくときも、ただ単純にアタリを待っているだけではありません。エサの位置を常に把握して、次の一匹を釣るまでの時間をセーブします。さらに、喰いが立ってタナが竿の長さよりも浅くなったときは、ウキ下を固定して手返しよく確実に釣り上げます。
 夜釣りの場合、クロダイは浅場まで寄ってきます。摂餌にきているので基本的に食い気はありますが、エサが落ちてくる状態が見えにくいためか、水面まで浮きあがることはめったにありません。そのため底だけを集中して狙うことができます。
 底性のクロダイは常に海底が見えていないと安心できません。堤防のカベや海藻、ボートの張り綱などは、海底と同じ安心感を与えます。クロダイから見て、常に何かが視界に入る範囲を攻めることが重要です。

クロダイの夜釣り / 解説 : 原氏 満 ( バラシ マン )

 わたしが初めてクロダイを釣ったのは小学校の6年生のときです。釣りといえば最初のうちはすべて投げ釣りでした。タックルは竹製の投げ竿、プラスチック製の横転リール。これらはお正月のお年玉でそろえたものです。考えると、あれから50年以上もクロダイ釣りをしていることになります。フカセ釣り一本でクロダイを狙うようになってからでも、すでに25年が経過しました。やればやるほど奥が深く、クロダイ釣りの巨星・若松敬竿氏が 「 チヌ釣り五十ヶ条 」 の中で書かれていたように、霞の奥はまた霞かな、といったところがいまの心境です。
 クロダイは意外性の魚といわれます。意外なところで、意外なエサで、意外なサイズが、意外な仕掛けで、意外な人に釣れます。しかし、本格的にねらってみると、これが意外と難しい魚なのです。工夫も必要です。忍耐も欠かせません。研究心も大切です。クロダイに魅かれ、70cm オーバーのクロダイを求め、日本全国のあちこちの釣り場を釣り歩きましたが、まだまだ感心、驚かされることばかりです。
 クロダイの釣り方も時代とともに変わってきました。最初は投げ釣りが主体でしたが、フカセ釣りを覚え、固定の二段ウキ仕掛けを知ったころから完全にのめりこみました。固定で狙えない深い場所を攻略するために移動仕掛けにもチャレンジしました。
 岸壁や防波堤の落とし込み釣りもしました。餌盗りの多い防波堤からのウキダゴ釣り、筏からのダンゴ釣りも経験しました。ルアーでもクロダイをねらいました。
 今回はクロダイの夜釣りについて紹介してみます。半夜釣りも含め、防波堤や岸壁などでは割りと大型のクロダイが釣れることから人気があります。最近では夏場だけではなく、一年中ねらう釣り人も増えてきました。
 夜釣りといえば、なくてはならないものに電気ウキがあります。この電気ウキも時代とともに大きく変貌してきました。最初は海水と反応して光る銀ピカといわれる電池が使われていました。それが乾電池に変わり、ボタン電池、ピン電池と進化を遂げ、同時に光源も電球からLEDと大きく変化しています。
 とても明るくなりました。歳を重ね、目が弱くなったわたしにとって、明るい電気ウキというのは、これはもうたまりません。夜釣りが楽しくなる最高のタックルだといえます。点灯している時間もずいぶんと長くなりました。いま使っているのはルミカの チャップオン という電気ウキの0.5号と3Bです。0.5号は24時間、3Bのグリーンは連続60時間 ( 実際には1週間くらいは光っているようです ) 使えるので大変経済的です。60時間といえば単純計算でいっても、1回4時間ほどの半夜釣りだと15回は使えます。これはほぼ1シーズンにあたります。おまけにこのウキは海面に着水すると同時に点灯する構造になっているので、現場でウキを開けて電池をセットする必要がありません。海から仕掛けを上げると自動的に消えるので、釣りをやめて道具を片づけるときもスイッチを切る必要がありません。
 夜釣りで明る過ぎるウキは釣れない、といわれる方がいますが、わたしの場合はあまり気にはしません。薄暗いウキよりも鮮明にアタリが出ますし、夜釣りをしていても疲れません。むしろ電気ウキの光より、ヘッドライトなどの光を海面に落とすようなことを避けた方が賢明だと思います。キラキラと海面を照らす、音を立てるなどの行為は慎むべきです。さらに気を使うのであれば玉網には ケミホタル75 を折って発光させたものを巻きつけておけば、取り込みのときに海面をライトで照射することなく、クロダイを掬うことができます。
 夜釣りでも基本となるのは遊動仕掛けです。昼間と違って使用するウキが電気ウキとなるだけです。3Bであれば水中ウキはマイナス3Bのものを使います。0.5号のウキであれば水中ウキをマイナス0.5号にします。要はウキの浮力と同じ重量のオモリを使えばいい訳です。ウキの浮力を抑え、魚のアタリが出やすくなるように追加のガン玉を打つ人もいますが、夜釣りの場合は食い渋りを気にする必要はありません。3Bと0.5号のウキの使い分けについては、ねらうタナの水深で決めています。ねらいのタナが竿1本以内であれば3B、竿1本以上の深さであれば0.5号を使います。面倒臭がりやのわたしは、初めての場所では必ず0.5号を使います。
 昼間の釣りとの決定的な違いはハリスの号数を大きくすること。最大で3号くらいまで使います。またハリの3〜4cm上に 「 ちもとホタル 」 をセットします。これはハリの位置を判りやすくするためと、集魚効果を高めるためです。集魚効果についてはいまさら書くまでもありません。セットするとしないのでは、明らかにヒット率が違います。水中に生息している生物で夜になると発光する甲殻類や虫類が絶好のクロダイのエサになるからではないかと思われます。クロダイがエサもろとも、ちもとホタル まで呑みこんでいたことも珍しくありません。
 これはわたしの裏技ですが、昼間でも 8m 以上の深いタナをねらうときは、ちもとホタル をセットします。ハリスウキとして、底の方で動く微細な流れをつかんでエサを躍らせてくれるからです。ぜひ試してみてください。
 実際に釣り場で竿出しするときのことについて触れます。あらかじめ、仕掛けは自宅でセットしておきましょう。リール、ウキ、水中ウキ、スイベルまでセットしておきます。ハリスにはハリをつけたものを5〜6本を準備し、使い古しのスプールを利用して巻いておきます。これだけでも現場で行う作業が減り、スムースな竿出しができます。現場ではハリスに専用チューブを通し、ちもとホタル を折って発光させてセット。スイベルに結べば一丁上がりです。
 後はタナ取りのオモリを使って、きちんと水深を合わせましょう。これがクロダイ釣りでは大切なことです。潮の満ち引きに合わせて行うこまめなタナの調整が、釣果を大きく左右することになります。
 夜釣りでは安全への配慮が必要になります。家族に、行く場所と帰宅時間を告げてから出発してください。一人で釣行する場合はなおさらのことです。
 波をかぶることがあるのでウェアや照明具は、防滴または防水の製品を選んでください。ライフジャケットも必需品です。肩口に反射板が付いているものを、釣り場に着いたらすぐに着用するようにします。股ベルトをしっかり締めておかないと、万が一、海に落ちたときに脱げてしまうことがあります。また、釣り場での飲酒は厳禁です。なにが起こるかわかりません。アクシデントが発生しないように注意してください。
【 原氏 満 ( バラシ マン ) 】

[ プロフィール ]
元ウキメーカー勤務。
巨クロダイを夢見て全国各地を釣り歩くさすらいのクロダイ師。一度竿を出したら釣れるまで動かない根性で韓国から中国南部、オーストラリアまで荒らしまくる。


ケミホタルでマーキング

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フィールドスタッフ 山本名人の落とし込み釣り / 解説 : 山本達雄

 イガイは冬に産卵して夏には 4〜10mm まで成長します。盛夏、岸壁にビッシリと貼り付いたイガイの層の中には、カニや子エビ、ゴカイのような虫が潜んでいて、クロダイはこれらのエサを補食するため堤防に寄りついています。イガイ自体もまだ殻が柔らかく、量も多いのでクロダイの主食級のエサになっています。岸壁を歩きながら、あたかもこれらのエサが落ちてきたかのように演出して喰わせるのが落とし込み釣りです。
 カニエサのときは小さなクロダイでも喰ってきますが、イガイの殻を砕くほどのパワーがあるのは 30cm 以上の良型だけ。イガイの落とし込みは良型だけを狙って釣ることができる釣りです。

≪ バラシ上等 ≫
 落とし込みはアタリを取って掛け合わせる釣りです。クロダイがエサをのみ込んで勝手にかかることはまずありません。アタリが出た瞬間にはまだ鈎先が完全に口の中に入ってないことが多いので、素バリとバラシが多発して、実際に取り込めるのは全部のアタリの3割くらいです。
 足元でヒットしたとき、クロダイは岸壁を向いているので、腕を前に突き出して竿を沖に振り出すようにアワセを入れます。このときイガイに仕込まれた鈎が、口の中を向いていれば、フックは上アゴに立ち込もうとします。しかし、良型の歯の裏は頑丈なためフックはなかなか立ち込まず、歯と歯のスキマに挟まった状態になりがちです。このままテンションをかけて沖に走らせると、うまくいけばフックが移動して口の横にフッキングします。

≪ ポイントはクロダイが教えてくれる ≫
 一般的な釣りでは、潮流の壁やヨレなどエサ生物が滞留しやすいところがポイントになりますが、落とし込みの場合は、エサ生物の居付き場所であるイガイのコンディションが集魚力を左右するので、イガイの層がよく見える干潮時にポイントを観察してください。クロダイに囓られて白くなっている所があればそこがポイントになります。海中のイガイが喰い尽くされた場所でも、満潮時に水面下になる位置であればクロダイが寄ってきます。
 浅ダナまで来ているクロダイほど喰い気がありますが、安易にポイントを覗きこむと姿を見られるので、できるだけ岸壁から離れてください。群れでイガイを補食中の場合でも、姿さえ見られなければ釣ることができます。狙いのタナは水深 2〜3m です。干潮時にはイガイの層が露出してしまい、水中には食べるエサがなくなるため、どこかに行ってしまいます。したがってヒットは満潮前後に集中します。
【 yuzan < 山本達雄 > 】

[ プロフィール ]
広島県在住のスゴ腕釣師。
掛けアワセの名手で、メダカが鈎先を突いたような微少なアタリをフッキングさせる異次元の腕前。メバル釣りでは30分間に60匹の驚異的な記録を持つ。

タックル

 竿はラインの弛みが少ないU字ガイドの 3.6m 程度。ただし目印が通らないので、必要なら通常ガイドの磯竿を使うことをお勧めします。道イトはフロート系、またはサスペンド系で見えやすい色の2〜3号。ハリスはナイロンでもフロロでもOK。フッキングしたときにラインの全長が短くてショックを吸収する余裕がなく、竿も硬調なのでラインへの負担は大きい方です。通常は1.5号を使ってください。1.5号で 50〜60cm クラスが取れます。走らせたくない場所では2号を使います。

釣り方

 通常ガイドの竿の場合、利き手に竿を握ったら、親指と人差し指でスプールを挟むようにして仕掛けを保持します。そのまま反対側の手でリールからラインを矢引巾ほど引き出すと、手元に余分なラインを持った状態になります。ここで竿を振ると同時に仕掛けをリリースすれば、手元にあった余分なラインまで放出されて海面に浮くことになります。
 クロダイは岸壁から落ちたエサを狙っているので、エサは壁から 20cm 以内をキープして落とし込みます。海面に浮いたラインにはマーカーを付けておき、仕掛けが沈んでいくときの動きでアタリを取ります。夕マズメの暗くなった海面では見えにくいので ケミホタル を使ってください。竿尻を腕にあててホールドし、スプールはフリーにしたまま指で押さえてアタリを待ちます。

沈降速度とアタリの関係

 沈降速度がヒット率を左右します。ヒット数が多ければ釣れる数が増えるので、エサができるだけ自然に沈降するようにコントロールしてください。
 カニのときはオモリを使いますが、イガイにはある程度の重さがあるので自然落下が基本になります。エサは浮力のあるラインを引っ張りながら沈んでいくため、沈降速度が遅くなりがちです。ヒューズを巻いて重くすることはできますが、あまり速く沈めすぎると喰いがわるくなります。
 スレたクロダイには早目にして、あまりエサをじっくり見せない方がいいときもあります。しかし、普通はあまり早く沈ませると追うのを諦めてしまいがちです。 ( 浅い場所なら底までエサを追いかけるので大丈夫 ) 。
 落とし込みには、引き込みアタリ、走りアタリ、止めアタリの3種類があって、一番多いのは沈下していく仕掛けが止まる 「 止めアタリ 」 です。たとえばフカセ釣りでいう全遊動のように、あまりにゆっくり沈んでいくと、止めアタリがとりにくくなります。ひったくるように出る引き込みアタリなら初心者でも判るし、疑問を感じながら聞き合わせるよりも面白いのですが、数を釣りたいなら、もっとも多い止めアタリが出やすいよう、少し早めに沈める必要があります。

取り込み

 ラインに変化があったら、仕掛の弛みの分まで大きくアワセを入れます。アワセの衝撃はスプールを滑らせて吸収してください。水深がある場所でヒットしたときは底に、浅場でヒットしたときは沖の深みに走る傾向があります。オーバーハングの場所では足元に突っ込まれるので長竿で対応してください。引きのつよさで大きさを推し量り、大型ならスプールを指で押さえ、ドラグをかけながらラインを送りだします。動きが止まったところで引き寄せてください。
 つよい締め込みには竿に手をそえ、竿がラインと直角になるようにキープします。鈎が貫通していないことが多いので仕掛けを緩ませないよう注意してください。仕掛けが緩むとクロダイに主導権を取られるかバラすかのどちらかです。足元勝負なのでポイントを荒らさないよう、空気を吸わせてから手早くタモ入れします。取り込める場所を考えてから釣り始めることが重要です。

≪ ピンチ! ロープに逃げられる ≫
浮き桟橋など、水中の障害物が多い場所で釣りをしていると、ロープの下などに走り込まれることがあります。長い間海中にあるロープには貝やフジツボが付着していて、ラインが少しでも触れれば2号だって一瞬で切れてしまいます。テンションをかけて止めようとしても万事窮す! ブレークは避けられません。
このときイチかバチかでリールをフリーにしてやると、どういう訳かクロダイは反転して戻ってきます。非常に度胸がいるワザですが、もしもの場合にはお試しください。
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磯釣りタックルで楽しむ 渚釣り

 渚釣りには、並接ぎの長竿を使う釣法もあれば、カゴやテンビンを使う釣法、30号もの大オモリをぶっ込む釣法さえあります。日本海では波の発生する秋から真冬にかけてがシーズンですが、九州ではクロダイが浅場に入ってくる初夏から秋までがシーズンになります。
 様々なスタイルに進化を続ける渚釣り。ここで紹介するのは、九州で人気のサーフのウキフカセ釣りです。まだあまり釣り荒れていないためか、実際にやってみれば良型が多く、磯や港湾よりも数が出るのが特徴です。足場がよくて安全なうえに、釣り人もそう多くありません。浅い砂地なのでパワフルな横走りを堪能できるのも魅力です。

場所選び

 釣人の常識からすれば、まさかと思うような砂浜からクロダイを引き出すのが渚釣りです。ところがやはり何もない砂浜で釣果を上げることは難しく、なにかしらの変化が必要になります。
  1. 重要なのは砂浜のどちらかの端に岩場があること。撒き餌したら潮がクロダイの供給源である岩場に向かう流れだとベストです。
  2. クロダイは淡水の流れ込みがある場所を好むので、小さくても川があれば条件がグンとよくなります。大雨のときに大量の水が海底をえぐってできた澪筋が魚たちの恰好の移動ルートになっています。
  3. ゲームフィッシュには、エサとなる小魚を斜面に追い込んで逃げ場を封じる習性があります。駈け上がりの底を狩り場にしているので、仕掛けの届く範囲に深場があると遭遇率が高くなります。
  4. 遠浅の藻場の中にぽっかり空いた砂地。潮流の出会い、流れの弛み、シモリ、ゴロタ石。クロダイが身を隠せるコンストラクションのある場所が狙い目です。
  5. 海底の地形は水面の波の状態に影響を与えます。水面に変化のある場所を探ってみてください。近くに山があるなら、偏光グラスで藻場や岩礁の場所を確認しておけば完璧です。

撒き餌

 ゴミを出さないよう釣具店さんで混ぜてから持って行きます。釣場に着くまでに水分が出て柔らかくなるので、それを見込んだうえで硬く重く仕上げてください。遠投するのはもちろんですが、仕掛けを底に這わして釣るので、撒き餌も底に溜まるように作るわけです。重ければ狭いエリアにクロダイを集めることができるうえ、ポイントが近いときでも対応可能です。
 波打ち際まで道具類を運んだら、沖のポイントに向かって撒き餌をします。仕掛けを作る前から撒き餌を入れ始めてください。潮が沖に流れだしたらチャンス到来です。20分ほど撒き餌を打っていると潮下にいたクロダイが撒き餌の道を遡ってきます。この細い道を切らさないために、やり取りしている最中にも撒き餌を打つ釣師がいます。
 もしポイントがごく近い場合は、波が一番上まで来たときに足下に撒き入れ、引き波を利用して離岸流の底に巻き込ませます。

離岸流 ( 払い出し / ハケ )

 隠れ家の豊富な場所は別として、ポイントの絞りにくい砂地では離岸流を見つけることが釣果を左右します。湾内に入り込んだ潮流は、かならずどこかで沖へと流れ出します。すべての流れを集めた離岸流には、遊泳力の弱いエサ生物が含まれていて、クロダイにエサを供給するフィーダーレーンとなっています。この流れから外れてしまうとクロダイの密度は極端に薄くなります。
 離岸流が発生する場所は、頭の中で地上の地形を海中に延長して推理します。木切れなど海面の浮遊物の動きも参考にしてください。離岸流は月齢の潮の大きさや一日の潮汐で変化します。長い砂浜だといくつも現れるので、その中で一番大きな流れを見つけ出して撒き餌すれば潮に乗って遠くまで効いてくれます。潮が動かないときは、満潮で寄せた潮が沖に引かれる下げ始めの時間帯を狙ってください。誰も撒き餌をしない砂浜ではクロダイは沖にいるし、沖にいるクロダイは釣人を警戒していないので一発で喰ってきます。

エサ盗り対策

 夏場なのにエサ盗りが少ないのも渚釣りの魅力のひとつです。おもな敵はフグですが、クロダイが寄ればフグは逃げてしまいます。餌が残るようになったらクロダイが来たと判断して、ハリスに傷がないかチェックしておきましょう。ラインに巻きクセがついていると太陽光が反射してフグの餌食になります。フグをかわすには、仕掛けを撒き餌よりも少し沖に入れます。餌が浮いている間に喰われるので、素早く沈ませるようにしてください。白い鈎はフグの興味を引くので使ってはいけません。フグの大好きな麦だけを別の場所に撒いて足止めする方法もあります。
 砂底の海に、アジゴやサバゴなど足の速いエサ盗りは多くないのですが、これらは中層にいる魚なので、もし釣れたときにはタナを深くして対応します。海藻が釣れるようなら少し上げてください。ヒラメは勢力がつよいのでクロダイは追われてしまいます。ベラはクロダイと同じ場所にいます。クロダイが来ても逃げないので、もし釣れ続くようならポイントを移動しましょう。ボラはクロダイの先触れなので大丈夫です。

タックル

 遠浅のビーチでは遠投できる仕掛けが必要になります。自重があって遠投しやすいウキを用意してください。30m 以上から見える視認性の高さも必要です。波が静かな場所なら棒ウキも使えます。
 遠投するときは道イトの抵抗が無視できないのでリールには細いラインを巻いておきます。置きエサにするときは海底でのエサの自然な動きを妨げないよう柔軟なナイロンハリスが適しているでしょう。瀬ズレは考える必要がありません。付け餌はオキアミが基本ですが、距離とエサ盗り次第では市販の練りエサも用意しておけば安心です。

釣り方

 竿を砂地に直接置くと継ぎ目に砂が噛むなどのトラブルが発生しがちです。リールにも砂が付着しないよう注意してください。砂浜は干潮時で水深〜2m 程度。深いところで 5m もないので、最初はタナ1ヒロ半からスタートして底を取るようにします。
 仕掛けを投入するのは 20〜30m も沖のシモリや落ち込みです。竿と餌の間に潮流があるので、常に仕掛けの位置をコントロールして、撒き餌を入れた場所から外れないようにしてください。砂浜では基本的に潮は左右に流れます。横流れの潮で道イトが膨らみがちですが、ウキ先行で流れてしまうと仕掛けが馴染みません。潮流が速いならガン玉を打って仕掛けを落ち着かせます。
 最初の狙いは底スレスレです。仕掛けが底についたり浮いたりするとウキの動きがギクシャクするのでよく観察してください。水温が低いときや、喰い気のないとき、波風があって仕掛けが上下するとき、二枚潮のときは海底にベッタリ這わせて対応します。這わせ部分が長すぎるとウキに反応が出にくいので注意してください。
 逆に、小魚を追ってヒラ打ちが見えるとき、ニゴリがあるときは水面直下で喰ってきます。中層なので反転して大アタリが出るかも知れません。最初の一匹がヒットするまではこまめにタナを工夫しながら釣ってください。タナの見当が付かない場合は0号ウキの遊動仕掛けでゆっくり沈めていきます。

取り込み

 夏の波止だと中・小型が主体ですが、渚なら良型が出ます。アタリは明快なので、ラインを張り気味にしておき、竿をスッと立ててアワセを入れると、沖でバチバチと頸を振っているのが伝わってきます。ゴロタ浜の場合は根掛かりに注意が必要ですが、障害物がない砂浜なのでやり取りには余裕があります。
 タモは用意しなくて大丈夫。寄せ波のタイミングでランディングするだけです。ただしフッキングが浅いときに無理をすると引き波の力でバラすことがあります。
 駆け上がりの沖でヒットした場合は竿を高くあげ、肩の部分でラインがスレるのを防いでください。



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